子供たちはスマイルポテトと一緒に盛り付けられたミックスベジタブルを多く食べる
アメリカの食事ガイドラインでは、3~18歳までの子供や若者は、1日に2.5~3カップの野菜を摂取するよう勧めています。
しかし、平均的な学齢期の子供たちは、毎日約1カップしか食べていないようです。
推奨される3分の1の量しか食べることができていないのです。
また日本では、3~5歳が240g、6~7歳が270g、8歳以上が成人と同じ350g以上の野菜を摂取するよう勧められており、そのうち3分の1以上は緑黄色野菜であるべきなのだとか。
そしてアメリカほどではないにせよ、日本人もあと数十グラム分は野菜が不足しているようです。
特に子供たちは成人に比べて好き嫌いが激しく、親は子供に野菜を食べてもらうのに一苦労します。
そこでアールボーン氏ら研究チームは、ポテトを利用して、子供たちに野菜を多く食べてもらう方法を検討しました。
この研究は、「ポテトなどの一般的に好まれる食べ物と野菜を組み合わせるなら、子供の野菜摂取量に影響を与えることができるかもしれない」という考えのもと実施されました。
実験には、7~13歳の子供たち65名が参加しました。
そして次の5つのバリエーションで食事が提供され、野菜(豆とニンジンのミックスベジタブル)の摂取量などが計測されました。
- ミックスベジタブルと全粒粉ロールパンを別々に提供(対照条件)
- ミックスベジタブルとスマイルポテトを別々の器で提供
- ミックスベジタブルと味付き角切りポテトを別々の器で提供
- ミックスベジタブルと味付き角切りポテトを同じ器で提供
- ミックスベジタブルとスマイルポテトを同じ器で提供
その結果、対照条件である①ロールパンの食事では、子供たちはミックスベジタブルを21.1g食べました。
そしてミックスベジタブルの摂取量が一番多かったのは、⑤ミックスベジタブルとスマイルポテトを同じ器で提供したケースでした。
また、スマイルポテトとミックスベジタブルの盛り付け方を比較した場合、同じ器で提供したほうが、別々で提供するよりもミックスベジタブルの摂取量が最大52%も多くなったのです。
可愛らしく、そして楽しく盛り付けられたポテトがあると、自然と子供たちは野菜も多く食べてしまうのでしょう。
例えば「キャラ弁」なども子供たちは喜びますが、「楽しく食べる」という観点では、同様の効果があるかもしれませんね。
ちなみに、今回の実験で使用したスマイルポテトは油で揚げられているため、健康が気になる親もいるでしょう。
その点、研究チームは、「対照条件と比較して総摂取カロリーが21kcal、不飽和脂肪が5g増えただけ」だと述べています。
また、もともとのミックスベジタブルの摂取量が少ないため、スマイルポテトによって摂取量が増えたと言っても、まだ十分な量には遠いという課題もあります。
それでも、「盛り付け方で変化する」という結果は、子供に野菜を食べる習慣を身に着けてもらいたい親や、日々の食生活を見直したい大人たちにとって役立つでしょう。
野菜を別の器にただ盛り付けるのではなく、「見た目の親しみやすさ」や「食事の楽しさ」を意識して1つの料理として盛り付けるなら、自然と野菜の摂取量が増えるかもしれないのです。