見知らぬ人と挨拶するだけで幸福度がUP!
従来の研究の多くは、幸福度の向上に寄与する方法を探る上で、友人との交流やコミュニティへの参加など、社会的に密接で深い繋がりばかりに注目してきました。
しかし、そうした方法は多くの人にとってハードルが高いものです。
そこでチームは今回、見知らぬ人との挨拶や短い会話がメンタルヘルスに与える影響を調べることにしました。
調査ではトルコとイギリスの2つの大規模集団を対象に、日常における見知らぬ人との挨拶や短い会話の頻度について質問しています。
例えば、散歩中にすれ違った人と「こんにちわ」と挨拶しているかとか、買い物先の店員さんと短い会話をしたりするかなどです。
その後、参加者には自身の生活満足度を0〜5段階で評価してもらいました。トルコでは合計で3266件、イギリスでは6万141件の回答が得られています。
そしてデータ分析をした結果、見知らぬ人と挨拶や短い会話をよくする人では、そうしたやり取りを避けている人に比べて、日常生活での孤独感が減り、人生全般への満足度および幸福度が有意に高くなっていることが判明したのです。
特にここでは正の相関が見られ、見知らぬ人と挨拶する頻度が多ければ多いほど、満足度や幸福度も高まっていました。
この結果は、親しい付き合いに焦点を当てた従来の研究と異なり、親交のない他者との短く簡単な交流でもメンタルヘルスにポジティブな作用があることを示唆するものです。
この理由について、研究主任のエスラ・アシギル(Esra Ascigil)氏は「定期的に見知らぬ人と交流することが、社会的なコミュニティに属しているという感覚につながり、”自分が人々に受け入れられている”という帰属意識を高めるからではないか」と指摘しました。
ただ、知らない人に軽く挨拶したり雑談を持ちかけたり出来る人というのは、そもそも陽気な性格の人であって、それ故に幸福度も高いのではないか、と感じる人もいるかもしれません。
しかし、知らない間柄での刹那的なコミュニケーションは、何も対面以外で実現できないわけではありません。
掲示板の書き込みに反応をもらうことや、動画配信で書き込んだコメントを配信者に読み上げてもらうなどの行為も、同様に孤独感を和らげ幸福度を高めてくれるかもしれません。
今回の研究結果に従えば、孤独感の悪影響を緩和し、気分を向上させるには、何も親しい友人とガッツリ会話しなくても、赤の他人と軽く挨拶を交わすだけでいいのです。