胃の膨らみが満腹感を与える仕組み
ダイエット中には、「野菜をたくさん食べるように」「食事の前にコップ1杯の水を飲むように」と勧められます。
そうすることで満腹感が得られ、結果として摂取カロリーを抑えることができるからです。
満腹感は、「胃の膨らみ」「血糖値の上昇」「神経伝達物質のバランス」などの要素で決まります。
そして胃の膨らみに関して言えば、次のようなメカニズムで満腹感が生み出されます。
まず水や食物で胃が膨張すると、「機械受容器」と呼ばれる細胞がその伸びを感知し、脳に信号を送ります。
その結果、脳はインスリンのほか、C-ペプチド、ペプチドYY、GLP-1などのホルモンの産生を促します。
これらのホルモンすべては連携して働いて私たちに満腹感を得させ、同時に空腹感を促すホルモンであるグレリンの濃度を低下させます。
そのためスリニヴァサン氏は、胃の内側にある機械受容器を振動によって刺激することで、「胃が伸びた」と錯覚させ、人に満腹感を得させることができるのではないかと考えました。
実際、過去の研究では、「筋肉を振動させることで、体は筋繊維が伸びたと錯覚する」と論じられています。
もし、これに似た現象を胃の内側で再現できるなら、水や野菜で胃を膨らませなくとも満腹感を得ることができるはずです。
そこでスリニヴァサン氏は、振動カプセルを用いた実験を行うことにしました。