従来のスキャン画像と比較した結果…
研究チームはここ数カ月間で約20人の健康なボランティアを対象にイズールトを用いた脳活動のスキャンを実施。
その結果、これまでに到達したことのないレベルでの鮮明な脳画像が得られました。
こちらがその画像で、左から3テスラ・7テスラのMRI、そして11.7テスラのイズールトを使った脳画像で、スキャン時間はどれも4分間です。
イズールトで撮影した脳画像は、一般に使用されている3テスラのものに比べて遙かに鮮明度が増していることがわかります。
研究者によると、3テスラでイズールトと同じ精度の画像を得ようと思えば、患者を数時間はMRIの中に閉じ込めておかなければならないという。
しかしイズールトであれば、わずか数分でかつてない解像度での脳画像が得られ、病気の検出や治療が大幅に向上すると期待できます。
これはMRIのような圧迫感のある閉所を苦手とする患者さんには嬉しい進歩です。
メカニズムが不明瞭な病気の解明にも
研究者らはこれと別に、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患、うつ病や統合失調症などの精神疾患といった、いまだにメカニズムがよく分かっていない病気の解明にも役立つと考えています。
例えば、アルツハイマー病には脳の特定の領域である「海馬」が関与しているとされますが、具体的にどのように影響を及ぼしているのかは定かでありません。
そこでアルツハイマー患者の海馬をイズールトで調べることで、健常者とどのような動きの違いがあるかを見つけられると期待できます。
CEAの研究者であるアン=イザベル・エチエンヴル(Anne-Isabelle Etienvre)氏は「治療の難しい疾患を詳しく理解することができれば、早期の発見とより効果的な治療が行えるようになるでしょう」と述べました。
ただ、人体での安全性の確認や品質の改善をする必要があるため、実際の患者に使用されるまでにはあと数年かかるといいます。
チームは今後数カ月のうちに新たなボランティアを募って、イズールトを用いた脳スキャンを実施する予定です。