よく遊ぶオスほど、大人になってメスとの交尾に成功していた!
研究チームはまず、「交尾ごっこ遊び」において、オスが、オス役とメス役をどれぐらい担うかについて調べました。
オスだけが参加する交尾ごっこ遊びでは、オスはオス役とメス役を交互に行うことがわかりました。
オスからすれば、交尾の練習になるのは当然、オス役をしているときに限るので、メス役ばかりを担うオスはいないということです。
一方、オスとメスが参加する交尾ごっこ遊びでは、オスはオス役ばかりする傾向にありました。
つまり、オスは交尾ごっこの参加者の性質に応じて、できるだけオス役を担うことで、交尾の練習をしていることが示唆されます。
この交尾の練習仮説を支持するために、チームは音にも注目しました。
ミナミハンドウイルカは、メスへとアプローチするときに「ポップ音 (pop sound)」と呼ばれる音を出します。
この音は、実際にメスの動きをコントロールする機能をもっているために、オスからメスへの口説く文句のようなものです。
このポップ音の音響学的な特性を、まだ若いオスと、既に交尾に参加しているオトナのオスで比較しました。
その結果、「若いオスのポップ音は、大人に比べて、持続時間が短く、音と音の間隔もばらばらである」ことがわかりました。
つまり、若いオスの口説き文句は、オトナほど洗練されていないことが示唆されます。
つぎに研究チームは、交尾ごっこ遊びにおけるオス同士の「連携プレー」に注目しました。
ミナミハンドウイルカが大人になって本番の交尾を試みるとき、オス同士は2~3頭が協力してメスにアプローチすることが知られています。
この交尾のときに協力するオス同士の関係は「同盟」と呼ばれ、この同盟を形成できるかどうかが、交尾が成功するかどうかを大きく左右します。
オスからしたら、同盟を組むことになるであろう将来の仲間と、交尾ごっこにて連係プレーを磨くことで、将来の繁殖成功度が向上すると考えられそうです。
チームは「親密なオス同士ほど、連係プレーをとる」ことを明らかとし、オスは将来の同盟相手と交尾のテクニックを磨いているという仮説を支持しました。
最後に、チームは「若いころに交尾ごっこのオス役をしていた時間が長いオスほど、オトナになってからたくさんのメスとの交尾に成功している」ことを明らかとし、若いころに遊ぶことにはたしかにオトナになってから役立つことを実証しました。
私たち人間は、遊びを通じて、人生を全うするのに必要な、コミュニケーション能力や社会性を培うとされています。
また、私たちと同じ社会生活を営む哺乳類にとっても、遊ぶことが他者との関係を築いたり、大人になってから必要なスキルの習得に重要な役割を果たすようです。
社会で暮らすことを選んだ哺乳類たちは、他者と共に生きていくために、遊ぶという行動を今もなお続けているのでしょう。
遊びが大事なことはわかりましたが、だからといって「若者よ、机になど向かっていないでもっと遊べ」といっているわけではありません。
子どもや若者たちが、気がすむまで学び、そしてだれに咎められることもなく、自由に遊べるような社会を皆で作っていくことが大事なのでしょう。
ちょうどフォールアウトのドラマで似た話きいたけど
理に適ってるんだな
メスやメス役のオスが性加害受けてるだけじゃないのか?
メス役は交互に交代するそうなので、メス役に関しては少なくとも性加害ではない模様。
しかしオス役の時間が長いほど交尾の成功率が高いなら、オス役だけするフリーライダーの出現を防ぐメカニズムがあるはず。
同盟関係が鍵になりそう?