頭の形が「トイレの便座」に似ていた?
研究に参加したブエノスアイレス大学の古生物学者であるクラウディア・マルシカーノ(Claudia Marsicano)氏は、化石を見つけたときの興奮についてこう話しています。
「骨の巨大な標本が露頭に横たわっているのを見つけたときは本当に衝撃的でした。
ひと目見ただけで、これまで知られているものとは全く違うことがわかり、周りもみんなも興奮を抑えられないようでした」
またフィールド自然史博物館の古生物学者であるジェイソン・パルド(Jason Pardo)氏は「完全な頭蓋骨を含む本当に素晴らしい標本が残っていたため、この生物の何がユニークなのかを知ることができました」と述べています。
そして研究者たちが見出したのは、ガイアシア・ジェニエの頭がトイレの便座にそっくりな形をしていたことでした。
実際の化石の写真がこちら。
まあ、確かにオーソドックスな便座の形に似ていますね。
ガイアシア・ジェニエは頭だけで長さ60センチもあり、口内には噛み合わせのよい鋭い牙も見られました。
また胴体を含むと全長は2.5メートル以上に達したと推定されています。
パルド氏は「彼らは人間よりも遥かに大きく、おそらく沼地か湖の底に生息していました」と指摘。
それから「大きくて平らな便座の形をした頭を持っていたので、口を開けて獲物を丸呑みすることもできたはずです」と説明しています。
大の大人でも噛まれれば、腕の1本や2本は簡単に持っていかれてしまうでしょう。
当時の生き姿を復元したイメージがこちら。
ただ少し安心できる点として、ガイアシア・ジェニエは比較的動きがゆっくりで、スピードよりも待ち伏せに頼って獲物を食べていた可能性が高いようです。
「もし彼らと遭遇しても、逃げれるチャンスは十分にあったでしょう」とパルド氏は話しています。
またガイアシア・ジェニエの存在は、最初期の四肢動物とそれ以後に派生した四肢動物との間の空白を埋める存在としても役に立つと期待されています。
四肢動物たちがどのようなプロセスで進化し、両生類や爬虫類を生み出していったのか。
その進化の秘密はガイアシア・ジェニエのような隠れた生物たちを見つけることで、より詳しく明らかになっていくでしょう。