オレンジジュースは果汁なしのオレンジドリンクに比べると健康的
オレンジジュースは果汁なしのオレンジドリンクに比べると健康的 / Credit: Canva
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食事量にも影響する!?オレンジジュースとオレンジ飲料の意外な違い (2/2)

2024.09.21 Saturday

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オレンジジュースはオレンジ風味の飲料よりも健康的

今回の実験の対象となったのは年齢が18〜45歳、正常体重(BMIが18.5〜24.9)などの基準を満たした36名の男女です。

対象者は最低5日間の間隔を空けながら、次の3種類の飲料条件のトライアルにランダムに参加しました。
・100%オレンジジュース条件(105.6kcal)
・オレンジドリンク条件(119.1kcal)
・水条件(0kcal)
※全て240ml

このうち、オレンジドリンク条件の飲料を調べたところ、炭酸飲料(オレンジソーダ)で、砂糖類は含まれている一方、果汁が含まれていない商品でした。したがって、この研究におけるオレンジドリンクは、日本で言う「その他の飲料」になります。

実験では、対象者は午前8時に実験室に来て、まず同じ朝食を食べて、その2時間後に、指定された飲料を飲みました。

飲料を飲んだ直後から1時間後まで血糖値を測り続けた上で、60分後にピザを昼食として食べました。この際、研究グループは、ピザの量は規定せず、参加者に対して、「心地よく満腹を感じるまで」食べるように促しています。

また、昼食後は実験室を離れることが許されましたが、その日の残りの時間帯に摂取した飲食物が記録されたとともに、CGMデバイスを装着することで、血糖値に関するデータ(間質液中のグルコース濃度)が計測されました。

このような実験の結果、飲料摂取から60分後の昼食や1日合計の摂取カロリーは、100%オレンジジュース条件の方がオレンジドリンク条件よりも少ないことが分かりました。

また、有意差こそなかったものの、100%オレンジジュース条件は水条件よりも摂取カロリーが低い傾向もありました。

具体的な数値は以下の通りです(数値は平均値)。
■昼食の摂取カロリー
100%オレンジジュース条件: 1151kcal
オレンジドリンク条件: 1269kcal
水条件: 1240kcal

■1日を通した摂取カロリー
100%オレンジジュース条件: 2717kcal
オレンジドリンク条件: 3137kcal
水条件: 2975kcal

そして、興味深いことに、飲料に含まれる糖質の量を考慮しても、各飲料を飲んでから1時間後までの血糖値の上昇度合いは、オレンジドリンク条件よりも100%オレンジジュース条件で小さいことが分かりました。

100%オレンジジュース(左)とオレンジドリンク(右)を飲んでから1時間後までの血糖値の上昇度合い(各飲料に含まれる糖質の影響を考慮済)
100%オレンジジュース(左)とオレンジドリンク(右)を飲んでから1時間後までの血糖値の上昇度合い(各飲料に含まれる糖質の影響を考慮済) / Credit: Robayo et al. Effect of 100% Orange Juice and a Volume-Matched Sugar-Sweetened Drink on Subjective Appetite, Food Intake, and Glycemic Response in Adults. Nutrients (2024)

また、実験室を離れた後から11時間後までのグルコース濃度は、100%オレンジジュース条件がオレンジドリンク条件のみならず、水条件よりも低くなっていました。

100%オレンジジュース(■)、オレンジドリンク(▲)、水(●)を摂取し、昼食をとった後の間質液中のグルコース濃度
100%オレンジジュース(■)、オレンジドリンク(▲)、水(●)を摂取し、昼食をとった後の間質液中のグルコース濃度 / Credit: Robayo et al. Effect of 100% Orange Juice and a Volume-Matched Sugar-Sweetened Drink on Subjective Appetite, Food Intake, and Glycemic Response in Adults. Nutrients (2024)

これらの結果から、研究グループは、昼食の前に100%オレンジジュースを飲むことは、オレンジドリンクを飲むよりもその後の摂取カロリーを抑え、血糖値も低くなるとまとめています。

そして、100%オレンジジュースとオレンジドリンクの反応の違いの一因としては、オレンジジュースには、血糖値の上昇を抑える働きを持つポリフェノールが含まれることが関係している可能性があると考察しています。

今回の結果は、血糖値が気になる人はもちろん、ダイエットをしたい人にも興味深い結果であるものの、あくまでも飲料を1回飲んだ際の急性影響を見たものであり、習慣的に飲み続けた際の慢性影響については不明です。

また、一口に「その他の飲料」と言っても、各飲料の中身は商品によって様々な上、世界保健機関の指針のとおり、100%ジュースであっても過剰に摂取することは健康に望ましくない影響を与えるでしょう。

したがって、今回の研究結果をもとに、オレンジジュースはダイエットに良いと解釈するのには無理があります。

その一方、この結果は、普段私たちが何気なく手にしている飲料であっても、その選び方によっては、その後の食事量にまで著しい影響を与える可能性があると解釈することは出来るでしょう。

日本で発売されているフルーツ飲料等のうち、ジュースの場合には、ストレートか濃縮還元かを含めて、パッケージや商品情報にその旨が記載されています。

フルーツ味のする飲料を日頃から飲む人は、その中身にも関心を持ってはいかがでしょうか?

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