各フルーツ飲料の違い
今から遡ること約10年前(2015年3月4日)、世界保健機関は、肥満や虫歯の予防を目的に「1日当たりの遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満に減らす」ことを推奨しました。
また、その指針では、遊離糖類の摂取を5%未満に抑えることが出来たら、健康効果がより高まる可能性があるとも記されています。
この遊離糖類(free sugars)とは、飲食物に付け加えられる単糖類(例:ブドウ糖、果糖)や二糖類(例:砂糖、乳糖)に加え、果汁、ハチミツなどに元々含まれるものも入ります。つまり、次に詳しく説明するジュースに含まれる糖質も遊離糖類に含まれます。
ここで、日本におけるフルーツ味のする飲料(以下、「フルーツ飲料等」)の種類について説明します。
フルーツ飲料等には、果実ジュース、果実ミックスジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料、その他の飲料などがあります。
このうち、商品名に「ジュース」が入っている飲料には、必ず果汁が100%含まれています。ただし、果実・野菜ミックスジュースは、果汁と野菜汁の合計で100%、かつ果汁が50%を超える場合を指します。
なお、ジュースは、製造方法によって、ストレート、濃縮還元と、さらに細かく分けられます。
一方、「果汁入り飲料」とは、果汁が10%以上100%未満の飲料を指し、ジュースと明記することや、パッケージに果物の断面や果汁のしずくを使うことが禁止されています。
また、果汁10%未満または無果汁で甘味料や酸味料、香料を使ってフルーツの風味を出している飲料は、ジュースはもちろんのこと、果汁入り飲料にも分類されず、「その他の飲料」に該当します(例えば無果汁のオレンジソーダ)。
そして、商品にもよるものの、果汁入り飲料またはその他の飲料の中には、果汁とは別に、砂糖類(例:果糖ぶどう糖液糖、砂糖、ぶどう糖)が加えられているものが多くあります。
フルーツ飲料等の中でも、ジュースは、かつては健康的な飲み物と捉えられていましたが、最近では糖質の摂りすぎによる健康リスクが世に広まったこともあり、果汁入り飲料やその他の飲料と同じく、健康面でマイナスの印象を持っている人が増えています。
そんな中、今回紹介する実験では、オレンジジュースとオレンジ風味のソーダ(その他の飲料)を飲んだ後の血糖値や、その後の食事量に及ぼす影響を調べることで、遊離糖類が含まれる飲料でも、その中身によって体に与える影響が異なるのかが検証されました。