・マウスへの実験により、体重増加の唯一の原因が「脂質」であるとされた
・脂質が脳の「報酬系」に作用し、さらなる食事の摂取を促していることが原因と考えられる
・実験はあくまでもマウスによるものであり、この結果が人間に当てはまる確証はない
アバディーン大学と中国科学院の研究者によるマウスを用いた共同研究において、「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」といった3大栄養素の中でも体重増加の原因となっているのは「脂質だけ」であることが明かされました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1550413118303929?via%3Dihub
多くの食事がそれら全てを含んでいるため、これまでどの要素が「体重増加」につながっているのか、ピンポイントに特定することは難しいとされてきました。そこで、この実験ではマウスを用いて食事を管理。「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の構成が異なる30パターンの食事を用意し、3ヶ月間同じ食事を与え続けました。
小さなMRI装置を用いた、合計1万回以上にも及ぶ体重の変化と体脂肪測定の結果、「体重が増加していたマウス」は、食事の栄養素の中で「脂質」を多くしたグループのマウスのみであることが判明したのです。
糖質由来のカロリーが30%含まれる炭水化物も、マウスの体重増加に影響を与えていませんでした。また、糖質と脂質の組み合わせも、脂質のみの食事と比べると大きな体重増加は確認されませんでした。これらの理由としては、脂質が脳の「報酬系」を刺激し、さらなる食事の摂取を促していることが考えられます。
研究を率いたジョン・スピークマン教授は、「これはもちろんマウスへの実験なので、全てが人間に当てはまるとは限りません。しかし、私たちは生理機能や代謝においてマウスと多くの共通点を持っています。そして、長期間人間の食事をコントロールすることは困難です。そういったことも含めて、この研究の人間に対する意義は大きいと言えるでしょう」と語っています。
これに対し、「脂質ではなく糖質を制限したら痩せた」などといった、研究結果に反する経験をした人の声も上がっています。検索すれば無限のダイエット法があふれているこの時代。研究者が携わっているからといって、鵜呑みにしてはいけない時代なのでしょう。
via: medicalxpress / translated & text by なかしー
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