肥満男性ほど精子の質が明らかに低かった!
ボディマス指数(BMI)は、身長と体重の関係から算出する「ヒトの肥満度」を示す値です。
世界的な基準でいうと、16〜18.5が低体重、18.5〜25が普通体重、25〜29.9が過体重、30以上が肥満となっています。
(日本だとBMI25以上は肥満に分類されています)
今回の研究もこの世界的な基準に合わせたものです。
チームはBMIと精液の質の関連性を調べた先行研究50件を集めて、総合的なメタ分析を行いました。
ここでは26〜44歳の成人男性7万1337名の大規模データが対象となっています。
また精液の質については、精液量、精子濃度、運動能力、形状などの項目を調べています。
そしてデータ分析の結果、過体重および肥満は「精液の質の低下」と有意に関連していることがわかりました。
特にその影響は肥満男性で顕著であり、正常なBMI値の男性と比べて、精液量や精子濃度、精子の運動能力が大幅に低く、形に異常が見られる確率も高くなっていたのです。
過体重の男性でも精液量と運動能力の低下が見られましたが、肥満男性よりは影響が少なく、他の項目についても有意な異常は見られませんでした。
今回の研究はBMI値と精液の質との相関関係を示したものであり、肥満だと精液の質が落ちるメカニズムまでは明らかにされていません。
しかしこれまでの研究で、過剰な脂肪組織から放出される毒素、太りすぎによるホルモンバランスの乱れ、体温上昇による精子の質の低下などが主な要因として挙げられています。
研究者は「私たちの研究結果は精液の質の低下を予防し、男性の受精能力を改善するには標準体重を維持することが重要であることを強調している」と述べました。
加えて、ここに喫煙やストレス、運動不足、睡眠不足といった他の要因が絡んでいる可能性も大いにあります。
その点については今後のさらなる研究が必要ですが、将来的に子供を授かることを望んでいる男性は「太りすぎ」に注意して損はないでしょう。