暗黒物質の存在根拠に打撃、暗黒物質は「エーテル」と同じ運命か?
暗黒物質の存在根拠に打撃、暗黒物質は「エーテル」と同じ運命か? / Credit:Matthew Kapust/Sanford Underground Research Facility
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暗黒物質、理論通りなら見つかるはずの条件で確認されず。結局「エーテル」と同じ運命か? (2/2)

2024.09.03 Tuesday

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WIMPの否定は新理論の夜明けに繋がる

WIMPがみつからない場合、それは何を意味するのか?

答えの1つとして、暗黒物質には複数種類が存在しており、これら隠れた領域にいる粒子には既存の常識にない力や相互作用を行っている可能性があげられます。

そのため既存の理論的で予想される1平方センチメートルあたり毎秒10万個の暗黒粒子が通過するという前提そのものが崩れ、キセノンを利用した検出方法の有効性が大きく低下するでしょう。

このような複数の未知の粒子は、通常の物質とかかわることなく独自に暗黒核や暗黒原子を生成し、見えない世界を形作ると考えられます。

あるいはWIMPに次いで有力と考えられていた、電子の1000億分の1という軽い質量を持つ粒子「アクシオン」や超対称性理論において重力の超対称パートナーとして予測されているグラビティーノの可能性も高まるでしょう。

あるいは、修正ニュートン力学(MOND)など暗黒物質への依存度が低い新理論の正しさが証明されるかもしれません。

通常のニュートン力学では、距離が遠くなるにつれて重力が同じペース(距離の2乗の反比例)で減少していくと考えられています。

修正ニュートン力学を使えば暗黒物質への依存した説明をある程度回避可能です
修正ニュートン力学を使えば暗黒物質への依存した説明をある程度回避可能です / Credit:clip studio . 川勝康弘

一方、修正ニュートン力学(MOND)では遠距離においては、重力の弱まるペースが遅くなり、想定していたよりも多くの影響を及ぼすと考えています。

この理論が正しければ「銀河外縁の星々が遠心力で銀河の外に飛び出してしまわないのも銀河中央にある超大質量ブラックホールの重力が、銀河外縁で想定よりも強いからだ」という結論になり、暗黒物質による重力の影響をかなりの程度、排除可能です。

実際2024年に行われた研究では、連星の動きについて暗黒物質の理論と修正ニュートン力学の対決が行われ、修正ニュートン力学の優位性が示されました。

ニュートンとアインシュタインの重力理論が崩壊している連星を発見!

これまでの科学史において、既存の理論が観測によって否定されるときには、常に新理論が現れ大きな飛躍をもたらしました。

ニュートン力学からアインシュタインの相対性理論への飛躍、古典物理学から量子力学への飛躍などがいい例でしょう。

暗黒物質としてのWIMPの否定、あるいは暗黒物質そのものの否定は、今後どんな新理論をもたらすのでしょうか?

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暗黒物質、理論通りなら見つかるはずの条件で確認されず。結局「エーテル」と同じ運命か? (2/2)のコメント

ゲスト

宇宙が等方でなければダークマターは不要、っていう説があったと思う。

    ゲスト

    銀河のミッシングマスからダークマターは提唱されてるので宇宙が等方的でなくても必要だろう。もちろん修正ニュートン力学でも良いけど。

hunza

ダークマターの候補については、日本人のkoshun sutoが10年以上前から提唱している超低位のエネルギー準位にある、例えば水素原子のモデルが最有力だと思います。最もらしいダークマターの候補は、もうこれしかないと思います。彼はこのモデルを国際会議でも発表しています。彼の論文はResearchGateでダウンロードすることができます。

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