ミールワームがプラごみを食べてくれる?
世界では現在、年間4億トン以上のプラスチックが生産されています。
そのうちリサイクルされているのはわずか10%未満であり、推定で1900万〜2300万トンは湖や川、海に流れ込んでいると見られています。
プラスチックには有毒な化学物質が含まれており、その廃棄物が水や土壌を汚染して、生態系に悪影響を与えているのです。
中でも「ポリスチレン」の処理は大きな問題となっています。
ポリスチレンは発泡スチロールの原材料として知られ、頑丈で壊れにくく、生分解が非常に困難な素材です。
その上、発泡スチロールは食品や電子機器、および工業用パッケージなど、汎用性がとても高いので、プラごみとしての廃棄量も自然と多くなっています。
そこで専門家らは、ポリスチレンで作られた発泡スチロールを効率的に処理できる方法がないものかと模索してきました。
その中で見つかった解決策の一つが「ミールワーム」です。
ミールワームはゴミムシダマシという甲虫の幼虫期を指し、主に飼育用の生き餌として流通しています。
しかし過去の研究で、ミールワームの中に発泡スチロールを食べて分解できる能力を持つ種がいることが報告されていました。
例えば、豪クイーンズランド大学による報告では、中南米原産の「ゾフォバス・モリオ(Zophobas morio)」という種の幼虫が発泡スチロールをエサとして食べられることがわかっています(Microbial Genomics, 2022)。
他にもプラスチックの消費能力を持つミールワームの報告例はありますが、その一方でアフリカを原産とするミールワームの中に同じ能力を持つ種がいるかどうかは不明でした。
ところが今回、ケニアのナイロビに拠点を置くICIPEの研究チームにより、ついにアフリカ出身でプラスチックを分解できるスーパーワームが見つかったのです。