画像
Credit: Fathiya M. Khamis et al., Scientific Reports(2024), canva,ナゾロジー編集部
insect

アフリカ初「プラスチックを食べるスーパーワーム」をケニアで新発見!

2024.11.23 Saturday

プラスチックごみによる環境汚染は今や世界的な問題となっています。

そんなプラごみ問題を解決してくれるかもしれない「救世主」が新たに発見されました。

ケニア・国際昆虫生理生態学センター(ICIPE)の最新研究で、アフリカ原産のミールワームにプラスチックを食べて分解できる能力があることが判明したのです。

これまでにもプラスチックを分解できるミールワームは発見例がありますが、アフリカ原産の種では初めてとのことです。

研究の詳細は2024年9月12日付で科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されています。

※ ミールワームの実際の画像はかなり刺激的なため、最後のページにまとめておきました。苦手な方は2ページ目までにしておきましょう。

 

Plastic-eating insect discovered in Kenya https://theconversation.com/plastic-eating-insect-discovered-in-kenya-242787 Can the mealworm be the answer to Africa’s plastic waste problem? https://www.icipe.org/news/can-mealworm-be-answer-africa%E2%80%99s-plastic-waste-problem
Mitogenomic profiling and gut microbial analysis of the newly identified polystyrene-consuming lesser mealworm in Kenya https://doi.org/10.1038/s41598-024-72201-9

ミールワームがプラごみを食べてくれる?

世界では現在、年間4億トン以上のプラスチックが生産されています。

そのうちリサイクルされているのはわずか10%未満であり、推定で1900万〜2300万トンは湖や川、海に流れ込んでいると見られています。

プラスチックには有毒な化学物質が含まれており、その廃棄物が水や土壌を汚染して、生態系に悪影響を与えているのです。

中でも「ポリスチレン」の処理は大きな問題となっています。

ポリスチレンは発泡スチロールの原材料として知られ、頑丈で壊れにくく、生分解が非常に困難な素材です。

その上、発泡スチロールは食品や電子機器、および工業用パッケージなど、汎用性がとても高いので、プラごみとしての廃棄量も自然と多くなっています。

画像
発泡スチロール/ Credit: canva

そこで専門家らは、ポリスチレンで作られた発泡スチロールを効率的に処理できる方法がないものかと模索してきました。

その中で見つかった解決策の一つが「ミールワーム」です。

ミールワームはゴミムシダマシという甲虫の幼虫期を指し、主に飼育用の生き餌として流通しています。

しかし過去の研究で、ミールワームの中に発泡スチロールを食べて分解できる能力を持つ種がいることが報告されていました。

例えば、豪クイーンズランド大学による報告では、中南米原産の「ゾフォバス・モリオ(Zophobas morio)」という種の幼虫が発泡スチロールをエサとして食べられることがわかっています(Microbial Genomics, 2022)。

他にもプラスチックの消費能力を持つミールワームの報告例はありますが、その一方でアフリカを原産とするミールワームの中に同じ能力を持つ種がいるかどうかは不明でした。

ところが今回、ケニアのナイロビに拠点を置くICIPEの研究チームにより、ついにアフリカ出身でプラスチックを分解できるスーパーワームが見つかったのです。

次ページ発泡スチロールを分解できる「アフリカ出身」の種を発見!

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

昆虫のニュースinsect news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!