花蜜を食べるオオカミを発見!
今回、花蜜を吸うことが確認されたのは「エチオピアオオカミ(学名:Canis simensis)」という種です。
エチオピアオオカミはその名の通り、”アフリカの角”に位置するエチオピアに分布し、その中でも特に標高3000〜4400メートルの高地に広がる草原に生息しています。
淡い褐色の毛並みで全長は大人で1メートル前後、その見た目の近似性から元々はジャッカルに近いと考えられていました。
今でも和名を「アビシニアジャッカル」と呼んだりしています。
しかし近年のDNA研究で、本種はジャッカルよりもオオカミに近いことが確認されました。
その一方で、エチオピアオオカミはアフリカ内でも最も絶滅の危機に瀕している動物の一つであり、すでに6つの飛び地に限定された99の群れの中で500頭以下しか生存していないと推定されています。
そこで本種の絶滅を食い止めるべく、「エチオピアオオカミ保護プログラム(EWCP)」という団体が1995年に設立されました。
EWCPはエチオピアオオカミの保護を適切に進めるために、本種がどのような行動を取り、何を食べているのかを研究しています。
今回の調査もその一環であり、オックスフォード大学の野生生物保護調査ユニット(WildCRU)と共同で行われました。
そして研究チームが2023年5月下旬から6月上旬にわたりフィールドワークを行う中で、奇妙な光景を目にします。
なんと肉食動物であるはずのオオカミが現地に自生する花の蜜をおいしそうに舐めていたのです。
しかも1度や2度ではなく、何日も連続して花蜜を訪れており、1つの花蜜を舐め終わるとまた別の花へと移動していました。
エチオピアオオカミは普段ネズミやウサギを主食としており、時々、鳥類やその卵を食べることがわかっています。
しかし植物である花蜜を食べることは知られていませんでした。
一体何の花の蜜を食べていたのでしょうか?