非人道的な「リトル・アルバート実験」の映像
ジョンは彼の助手を務めていたロザリー・レイナー(1898〜1935)という女性研究者と一緒に、リトル・アルバート実験を行いました。
被験者に選ばれたのは「アルバート・B(Albert・B)」と呼ばれていた生後9カ月の男児です。
日本語で紹介されるときは「アルバート坊や」と呼ばれているので、ここでもその呼び方に則ります。
アルバート坊やが被験者に選ばれたのは、候補者となった赤ちゃんの中で最も情緒が安定していたからでした。
ジョンは最初にアルバート坊やに対して、白いネズミやウサギ、犬、サルといった動物を見せたり、ジョン本人が白髭のついたサンタクロースの不気味なお面を被ったり、燃えている新聞紙を見せたりしました。
これに対しアルバート坊やは動物やお面、火に関する知識を持っていないため、特に怖がる様子は見せませんでした。
しかしアルバート坊やの背後で、鋼鉄の棒をハンマーで思いっきり叩いて大きな金属音を出したところ、アルバート坊やは泣き出すなどの恐怖反応を示しています。
そこでジョンはアルバート坊やに白いネズミを見せて、それに注意を向けたタイミングで先の金属音を発生させました。
するとアルバート坊やは恐怖を感じて泣き始めます。
この「ネズミを見せると同時に金属音を鳴らす」という一連の流れをパブロフの犬と同じように、何回も繰り返しました。
その結果、アルバート坊やは次第にネズミを見ただけで、金属音は鳴っていないにも関わらず、怖がって泣き始めたのです。
さらにアルバート坊やはネズミだけでなく、最初は何の反応も示さなかったウサギや仮面を見ても泣き出すようになりました。
実際の映像がこちらです。
(※ 音量にご注意ください。実験の様子は1分22秒〜3分50秒までです)
この実験は赤ちゃんに対して、条件付けにより「恐怖」を植え付けて学習させることが可能であることを証明しました。
ジョンはこれを受けて、「恐怖反応は生まれつきの本能的なものだけでなく、環境からの刺激や学習を通じて、後天的にも形成される」ことを実証しています。
ただリトル・アルバート実験は一部から「非人道的である」と批判を受けました。
この実験は何の罪もない赤ちゃんに心理的苦痛を与え、その後の人生にトラウマを植え付ける可能性があるため、それも当然です。
現代の倫理基準からすると完全にアウトであり、今やったら確実に炎上するでしょう。
これがリトル・アルバート実験の一部始終ですが、気になるのはアルバート坊やとジョン・ワトソンのその後です。
彼らはそれぞれどのような最期を迎えたのでしょうか?