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お粥の科学で嚥下障害に対処する / Credit:Canva
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【お粥の科学】とろみの解析で嚥下障害の患者を救う (2/3)

2025.02.11 07:00:33 Tuesday

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最新技術でお粥の「とろみ」の分析!粘度の比較が可能に

北海道大学の研究チームは、「流速分布計測支援型レオメトリ(VPAR)」という最新技術を用いて、お粥の流動特性を詳細に解析しました。

VPARは、二重円筒の装置を使って食品の流れ方を測定する技術です。

外側の円筒を回転させることで、サンプル(お粥)に変形させ、その際に超音波を使って円筒内の速度分布を測定するのです。

このデータを流体力学の計算式に当てはめるなら、お粥の粘度(とろみの強さ)を正確に求めることができます。

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VPAR による計測の様子と広がり挙動と流下挙動の観察 / Credit:北海道大学

研究では、市販の白粥、玉子粥、小豆粥の流動特性を比較しました。

そして結果は以下の通りでした。

  • 白粥の粘度が最も高く、流れにくい(しっかりしたとろみがある)
  • 小豆粥は白粥より少し粘度が低い
  • 玉子粥の粘度は最も低く、さらっと流れやすい

さらに、すべてのお粥が「シェアシニング性」を持つことが明らかになりました。

シェアシニング性とは、かき混ぜたり力が加わると粘度が低下する性質のことで、おかゆだけでなく、ヨーグルトやとろみ付き飲料もこの性質を有しています。

シェアシニング性は嚥下食にとって優れた性質だと言えます。

口の中で食べ物を動かすときは適度に柔らかくなり、飲み込む際には適切なとろみを保つため、誤嚥を防ぎながらスムーズに嚥下できるのです。

では、この「お粥の科学」は、どのように役立っていくでしょうか。

次ページお粥の科学が、より「安全で楽しい食事」をつくる

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