お粥の科学が、より「安全で楽しい食事」をつくる
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日本では高齢化が進むにつれて、嚥下障害を抱える人の数が増加しています。
厚生労働省の調査によると、嚥下障害に起因する誤嚥性肺炎の年間死亡者数は6万人を超えています。
また潜在的に嚥下障害を抱える人は推定100万人以上に達するとされています。
このような状況を受け、安全な嚥下食の提供がますます重要になってきています。
今回の研究で得られた「お粥の流動特性」に関する詳細なデータは、嚥下障害を持つ人のための食事設計に活用できるでしょう。
これまで経験則に頼っていた嚥下食の調整が、科学的なデータに基づいて最適化できるようになるのです。
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例えば、患者ごとの嚥下能力に応じた適切なとろみを数値で設定することで、より安全で適切な嚥下食の提供が可能になります。
小豆や卵を加えるだけで粘度が変化するため、調整も簡単です。
さらに、お粥だけでなく、スープやヨーグルト、ジュースなどの流動食品にもこの技術を応用できる可能性があります。
今後、嚥下食のデータベースを作成し、個々の嚥下能力に応じたシミュレーションが可能になれば、高齢者や病気を抱える人々のQOL(生活の質)を向上させることができるでしょう。
お粥の科学によって、リスクを避け、多くの人の「食べる楽しみ」を支えていくことができるのです。