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痛風の本当の原因は? / Credit:Canva
health

「痛風=ぜいたく病」は誤解!?大規模研究が「遺伝の影響が大きい」と示唆

2025.02.17 06:30:45 Monday

かつて痛風は「ぜいたく病」と呼ばれ、豊かな食生活を送る人の病気だと考えられていました。

今でもビールや肉類を好む人はリスクが高いと言われ、生活習慣が大きな要因とされてきました。

そのため痛風と診断された患者は気恥ずかしさを感じるかもしれません。

また痛風患者に対して「不摂生」「自己責任」「おじさんの病気」などと偏ったイメージを持つ人もいます。

しかし、最近の研究がこの常識を覆そうとしています。

オタゴ大学(University of Otago)を中心とする国際研究チームは、大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、痛風の発症には遺伝的要因が深く関わっていることを示唆しました

この研究の詳細は、2024年10月15日付の『Nature Genetics』誌に掲載されています。

Huge Study Shows Where Gout Comes From – It’s Not What We Thought https://www.sciencealert.com/huge-study-shows-where-gout-comes-from-its-not-what-we-thought Study finds genetics, not lifestyle, is a major cause of gout https://medicalxpress.com/news/2024-10-genetics-lifestyle-major-gout.html
A genome-wide association analysis reveals new pathogenic pathways in gout https://doi.org/10.1038/s41588-024-01921-5

痛風の症状と原因――本当に「ぜいたく病」なのか

痛風は、血液の中に尿酸がたまりすぎることで起こる病気です。

尿酸は、食べ物や体の中の細胞が分解されるときにできる「プリン体」という物質から作られます。

通常は腎臓を通じて尿と一緒に排出されますが、排出がうまくいかなかったり、尿酸が多く作られすぎたりすると、血液の中にたまり、高尿酸血症という状態になります。

そして尿酸が多すぎると、体の中で結晶になり、関節にたまります。

特に足の親指の関節にたまりやすく、突然激しい痛みが起こることがあります。

関節が赤く腫れ、歩くのもつらくなることが多いです。

この痛みは数日から1週間ほど続き、治った後も再発しやすい特徴があります。

また、痛風が進行すると腎臓にも影響を与え、尿路結石や腎臓の働きが悪くなることもあります。

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痛風の原因は主に食生活だと考えられてきた / Credit:Canva,ナゾロジー編集

痛風のリスクを高める食品には、プリン体を多く含むものが挙げられます

特に、レバーやアンコウの肝、イワシ、カツオなどの魚介類、肉類、ビール、魚卵などが高プリン体食品として知られています。

これらを過剰に摂取すると、体内で尿酸が増加し、痛風の発症リスクが高まるのです。

また、アルコールも尿酸の排出を妨げるため注意が必要です。

このように、これまで痛風は食生活と密接に関係すると考えられており、特にアルコールや肉類の過剰摂取が主な原因とされてきました。

しかし、なぜ同じ食生活を送っていても発症する人としない人がいるのか、その理由は長年の謎でした。

今回の研究では、痛風の発症リスクには食生活だけでなく、遺伝的要因に焦点を当てました。

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