ミカンを食べると「うつ病リスク」が下がる理由とは?
調査の中で、チームは柑橘類の摂取が「フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)」という特定の腸内細菌の増加と関連していることを見出しました。
参加者の便サンプルを調べてみると、柑橘類をよく食べていた人の便には、柑橘類を食べない人の便に比べて、F. プラウスニッツィイが多く含まれていたのです。
このことからチームは「F. プラウスニッツィイが柑橘類の摂取と良好なメンタルヘルスを結びつける役割を果たしているのではないか」と考えられました。
そこで男性を対象とした別の調査データ「Men’s Lifestyle Validation Study(男性のライフスタイル検証研究)」も調べたところ、便サンプル中のF. プラウスニッツィイが多い男性ほど、うつ病リスクが有意に低くなっている証拠が見つかったのです。
では、F. プラウスニッツィイはどのように心の健康と関係するのでしょうか?
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これについてチームは次のように説明します。
F. プラウスニッツィイが「S-アデノシル-L-メチオニン回路 I」という代謝経路を活性化することで、セロトニンやドーパミンといった「幸せホルモン」の分泌を促すのです。
これらの神経伝達物質は、消化管内で食物の通過を調整する役割を持っていますが、脳にも届いて気分を高める作用を持っています。
まとめると、柑橘類を食べることで腸内のF. プラウスニッツィイが増え、セロトニンやドーパミンの分泌が促進され、それが気分の向上につながり、うつ病が起きにくくなる可能性があるのです。
(またこの研究では、柑橘類に含まれるナリンゲニンという成分がF. プラウスニッツィイの増加を促すことも突き止められました)
今回の研究は「柑橘類の摂取がうつ病のリスクを低下させる可能性がある」ことを示すものです。
しかし当然ですが「ミカンさえ毎日食べていれば、確実にうつ病が予防できる」とは言えません。
うつ病は食事だけでなく、遺伝やストレス、生活環境など多くの要因が絡み合って生じる複雑な病気です。
とはいえ、日々の食生活がメンタルヘルスに与える影響は決して小さくありません。
うつ病のリスクを下げるためにも、健康的な食事習慣を取り入れることが重要です。
今日から1日1個のミカンを食べる習慣を始めてみてはいかがでしょうか?
科学的理由もあるんだろうけど、毎日柑橘を食べる金銭的余裕がある人はそもそも鬱にならなそう…