子供を「2人」出産すると、うつ病リスクが最も下がる?
研究チームは今回、イギリスの長期大規模研究「UKバイオバンク」に登録された約5万5700人の女性のデータを分析しました。
対象者は37歳から73歳の間で、出産経験の有無や出産した子供の数、さらに精神疾患の診断歴が記録されていました。
研究者たちは、年齢、収入、学歴、ライフスタイル(喫煙・飲酒・運動習慣)などの影響を排除するため、統計的に調整したうえで解析を行いました。
その結果、子供の出産経験がある女性は、出産経験のない女性に比べて、うつ病や双極性障害のリスクが30%ほど低くなっていることが判明したのです。
さらに統計分析によると、うつ病リスクの低減効果は子供の出産数が「2人」のときに最大化していることがわかりました。
3人以上になると、うつ病リスクの低減効果は明確に低くなることこそないものの、頭打ちになってそれ以上は何人産んでいても上がらなかったといいます。
一部の分析ではリスクがわずかに上昇する傾向も見られました。
それゆえ、2人の子供を持つことが女性にとってはメンタルヘルスを健康に保つのに最適であると、この研究結果は示しています。
これは子育ての負担が一定のレベルを超えると、かえってストレスが増し、メンタルヘルスへの好影響が打ち消される可能性を示唆しています。

また流産や人工妊娠中絶の経験がある女性では、この出産によるメンタルヘルスの保護効果が見られなかったことも興味深い点です。
今回の研究は、子供を持つことが女性のメンタルヘルスに及ぼす影響をデータに基づいて示した貴重な成果となります。
特に「2人の子供を持つことがうつ病予防に最適」という結果は、多くの人にとって興味深い発見でしょう。
もちろん、すべての女性が同じように感じるわけではなく、個人の状況やサポート体制によって結果は変わる可能性があります。
また、この研究は因果関係を証明するものではなく、今後、長期間にわたる追跡研究が必要とされています。
とはいえ、今回の研究は、家族計画を考える上での新たな視点を提供してくれるかもしれません。