画像
Credit: Rukmani Cahill et al., PLOS ONE(2025)
space

マウスを宇宙に滞在させると、ある部位の骨がスカスカに⁈ (2/2)

2025.04.02 11:30:11 Wednesday

前ページ宇宙空間では、どの骨の部位が弱くなるのか?

<

1

2

>

マウスをISSに37日間滞在させた結果…

今回の実験では、生後16週齢のマウスをISSに送り、37日間にわたり微小重力下で生活させました。

そして、地上に戻ったマウスの骨を詳細に分析し、地上で飼育されたコントロール群と比較しました。

この際、微小重力だけでなくロケット打ち上げ時のストレス負荷も考慮して、地上のマウスにはロケット打ち上げと同等の飛行訓練をさせています。

これで微小重力だけの影響を純粋に見ることができます。

画像
ISS内でのマウスの飼育ケージ/ Credit: NASA Johnson – Rodent Research in Microgravity(youtube, 2015)

研究者たちは、特にマウスにおける“荷重部位”、つまり地球上で体重を支える役割の大きい「大腿骨(足の付け根から膝までの太ももの骨)」に注目しました。

分析の結果、宇宙に滞在したマウスの大腿骨では、内部のスポンジ状の骨が大きく失われていたのです。

特に股関節や膝に近い部位では、骨密度が大幅に減っており、大きな空洞が広がっていました。

一方で、脊椎の腰椎部分ではほとんど変化が見られませんでした。

この差は、重力によって負荷がかかる部位とそうでない部位で、骨の反応がまったく違うことを示しています。

さらに驚くべきことに、宇宙空間では骨の成長の終了を早める「骨化」が加速していたのです。

通常は21〜23週齢で始まるこのプロセスが、無重力下では前倒しで起きていました。

これは成長期の若い個体にとって深刻な問題になりうる現象です。

画像
左:地上のマウスの大腿骨、右:ISSのマウスの大腿骨/ Credit: Rukmani Cahill et al., PLOS ONE(2025)

今回の研究結果が示すのは、微小重力下での骨の弱体化は全身に均等に起こるのではなく、荷重を支えている部位に集中することが示されました。

これは宇宙飛行士の健康を守るために、単にカルシウムを摂るだけでは不十分であり、 人工重力の導入や、負荷付きのトレーニング機器の開発といった対策が求められることを意味します。

また、子どもや若い世代が将来宇宙に長期滞在する場合、成長の早期終了や身長の伸び悩みといった問題も現実味を帯びてきます。

“宇宙で暮らす未来”が現実になりつつある今、微小重力下でいかに健康的に生活していくかという問題に、さらに目を向ける必要があるかもしれません。

<

1

2

>

マウスを宇宙に滞在させると、ある部位の骨がスカスカに⁈ (2/2)のコメント

ゲスト

スカスカになる部位に関してはそんなん当たり前やん(後出し)だが、
骨化が起こってしまうというのは貴重な情報よね。

ゲスト

宇宙ステーション回転させたら?

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

宇宙のニュースspace news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!