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「カモになってない?」投資ブームのときこそ知っておくべきバブルの仕組み (6/6)

2025.04.19 12:00:29 Saturday

前ページバブルはリーマンだけじゃない:日本のバブル経済とITバブルの教訓

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投資家ってただの転売屋じゃないの? 本当の「投資」ってなんだろう?

ニュースで「株価が過去最高を更新」「投資で資産形成を」なんて言葉を聞いて、あなたも一度は投資に興味を持ったことがあるかもしれません。けれど、ふと立ち止まってこんな疑問がよぎったことはないでしょうか?

「株」って、本当にその企業に投資してると言えるの?

たしかに株式は、企業が成長するための資金を集める手段です。株主は会社の共同オーナーとして、利益が出れば配当を受け取り、会社の価値が高まれば株価も上がる、それが本来の“投資”という仕組みでした。

つまり、株式投資とは「企業と共に歩むこと」であり、それが資本主義の原動力のはずでした。

でも今の市場を見ていると、少し違う風景が見えてきます。

多くの人は「あとで高く売れそうだから」という理由で株を買っていて、配当はあってもごくわずか。そもそも配当すら出さない企業も少なくありません。利益を得るには、誰かにもっと高く売るしかありません。それって本当に投資なのでしょうか?

実際、株価は企業の実績や社会的な意義よりも、“雰囲気”や“期待”で動いています。

政治家の発言ひとつで上下し、SNSの風向きひとつで高騰や暴落が起きる。投資家たちは「この会社がどんな価値を生んでいるか」よりも、「次に誰が高く買ってくれるか」に注目して売買しています。

そんな市場を見ていると、まるで“転売”のように感じられるかもしれません。

経済学者ケインズは、かつてこのような状況を「美人投票」のようだと言いました。

「自分が美しいと思う顔」ではなく、「他人が一番美しいと思いそうな顔」を選ぶ。
株式市場は、自分の判断よりも、他人の期待を先読みするゲームになってしまう。

こうした構造が過熱すれば、いずれ「実態よりも期待だけが膨らむ」ことになります。つまりバブルです。

バブルとは、「期待が過剰に膨らみ、それが裏切られて信用が一気に崩れる」現象です。そして、株式はまさに「期待と信用」そのものが値段になっている商品です。

ここで大切なのは、「すべての株式投資が悪い」わけでも、「短期売買がいけない」という話でもありません。

大切なのは、「中身を見ずに期待だけで買っていないか?」という問いかけです。

いま投資を始めるあなたへ: “買う前”に考えてほしいこと

これまで見てきたバブルの事例には、いくつかの共通点がありました。

一つは、「値段が上がり続けること」を誰もが当たり前だと思い込んでいたこと。

もう一つは、「乗り遅れたら損をする」という焦り

そして、もっとも根深いのが、「自分だけはうまく逃げ切れる」という、根拠のない自信や楽観です。

こうした心理が重なったとき、人は中身やリスクを見なくなり、“今上がっている”という理由だけでお金を注ぎ込んでしまいます。

私たちがバブルを防ぐことはできなくても、「その波に巻き込まれるかどうか」は、意識の持ち方ひとつで大きく変わります

「価格が上がり続けてるのに、今始めないと損だよ」「みんなやってるよ」「タイミングさえ見極めれば大丈夫だよ」

そんな言葉に惑わされて、その株式や金融商品の中身が何なのかもわからず、とりあえずで買ってしまっていないでしょうか?

リーマン・ショックで扱ったMBS(住宅ローン担保証券)という商品を思い出してください。どれだけ多くの人が、仕組みも知らず、仕掛け人のモラルも疑わず、「儲かるらしいから」と買っていたでしょうか?

銀行も証券マンも、きちんとリスクを説明せずに、モラルもへったくれもなくとにかく売りまくってくる場合があるということは、リーマン・ショックの事例からもよくわかります。

期待で膨らむとか、リスクを理解していながら止まれないという話をしましたが、それは金融システムの仕掛け人たちの視点で見た場合の話です。

一般の人たちは、そんな市場の状況や、商品の中身も知らずに、「よくわかんないけど今やったら儲かる」という情報だけで投資してしまうことがほとんどです。

その商品が“なにを裏付けにしているのか”、誰がそれを設計したのか、リスクはどこにあるのか。知らずに手を出して、結果的に巻き込まれていった──それが、バブルの正体でもあります。

株を買う前に、こう問いかけてみてください。

  • 「私はこの会社の“将来”を信じているのか?」

  • 「それとも、誰かがもっと高く買ってくれると“期待しているだけ”なのか?」

  • 「この株価には“根拠”があるのか?」

バブルに巻き込まれるのは、熱狂と同調に流されたときです。それを防ぐのは、ほんの少しの“知識”と“冷静なまなざし”なのです。

日本のバブルも、ITバブルも、そしてリーマン・ショックも、構造は違えどすべて「信用の過剰」から始まり、「信用の崩壊」で終わっています。

経済は数式だけで動いているのではありません。私たち人間の「期待」や「恐れ」、そして「欲望」が、見えない波となって市場を揺らしているのです。

現在の私たちの社会には、どのような“次のバブルの種”があるでしょうか? バブルは、いつの時代も「みんなやっている」「上がり続けている」という言葉が囁かれるときに膨らみ始めるものなのです。

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「カモになってない?」投資ブームのときこそ知っておくべきバブルの仕組み (6/6)のコメント

ゲスト

デウスエクスマキナはポイント・オブ・ノーリターンを過ぎてから使うべきです。
まだその時ではありませんよ?

ダイ

例え話が上手なのでするっと理解できました。ありがとう!

ゲスト

今はAIのバブルってこと?

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