どのくらいの速さで歩くと不整脈を予防できる?
チームは、英国バイオバンクに登録されている42万人以上の中高年を対象に、平均13年間の追跡調査を実施しました。
歩行速度は以下の3段階に分類されました。
・遅い(時速4.8km未満)
・普通(時速4.8〜6.4km)
・速い(時速6.4km以上)
こうした歩行速度は、アプリなどを使うと自分でも計測することができます。
そしてデータ分析の結果、追跡期間中に9%にあたる3万6574人が不整脈を発症していましたが、歩く速さが増すごとにそのリスクは明らかに低下していたのです。
具体的には、遅いペースで歩く人に比べて、
・普通の速さの人は、不整脈のリスクが35%減
・速歩きの人は、不整脈リスクが43%減
という大きな差が見られました。
特に不整脈の一種である心房細動では、速歩きの人においてリスクが46%も低下していました。
また、歩行時間を測定した8万人以上のサブグループ分析では、速いペースを維持して歩く時間が長い人ほど、不整脈のリスクもより低くなることが示されました。
研究者たちは「この知見は生物学的にも合理的であり、手軽にできる健康促進の手段として『歩く速さ』に注目すべきだ」と強調しています。

運動というと身構えてしまう人も多いかもしれませんが、特別な器具もウェアも不要な「歩く」という行動が、実は心臓の健康を守る鍵だったのです。
毎日の通勤や買い物のとき、少し速めに歩くことを意識するだけで、心臓は将来の病気から守られるかもしれません。