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死骸を身にまとう「ボーンコレクター」※記事内にモザイク無しの画像があります。 / Credit:Daniel Rubinoff(UH Manoa)et al., Science(2025)
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死骸を身にまとい死骸を食らうイモムシ「ボーンコレクター」が発見される【閲覧注意】

2025.04.29 11:30:01 Tuesday

死者をまとい、獲物を食らう肉食のイモムシ。

ハワイ大学マノア校(UH Manoa)の研究チームは、ハワイのオアフ島で、そんな恐ろしい生物を発見しました。

彼らが観察したのは、“ボーンコレクター(Bone Collector)”と呼ばれるHyposmocoma属のイモムシです。

このイモムシは、クモの巣に侵入し、巣にかかった他の昆虫の死骸を自らに縫い付けてカモフラージュするというユニークな行動を取ります。

この研究成果は、2025年4月24日付の『Science』誌に掲載されました。

(閲覧注意:記事内に死骸をまとったイモムシの画像があります)

‘Bone Collector’ Caterpillar Wears Dead Bugs to Steal Prey From Spiders https://www.sciencealert.com/bone-collector-caterpillar-wears-dead-bugs-to-steal-prey-from-spiders Carnivorous “bone collector” caterpillar patrols spiderwebs while adorned in body parts of its insect prey https://www.eurekalert.org/news-releases/1081118?
Hawaiian caterpillar patrols spiderwebs camouflaged in insect prey’s body parts https://doi.org/10.1126/science.ads4243

クモと共生する肉食のイモムシ「ボーンコレクター」

イモムシというと、多くの人は植物を食べる幼虫を思い浮かべるでしょう。

実際、葉っぱをむしゃむしゃと食べているイモムシを見たことがあるの人は多いはずです。

とはいえ、自然界には肉食のイモムシも存在します。

もちろん、そんな種は稀であり、既知の蝶や蛾の中でも他の生物を好んで食べる幼虫はわずか0.1%に過ぎません。

例えばそれらの幼虫は、ハチやアリの幼虫、他の昆虫の卵など、動きが遅いか、動かない獲物をターゲットにします。

そしてその中には、よりユニークな幼虫もいます。

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ハワイ特有の肉食イモムシ。その特異な行動から「ボーンコレクター」と呼ばれる。 / Credit:Daniel Rubinoff(UH Manoa)et al., Science(2025)

ハワイ固有の蛾Hyposmocoma属に含まれるそのイモムシは、「ボーンコレクター(bone collector)」と呼ばれており、クモと共生し、クモの巣に捕らえられた獲物を食べるという独特の行動を見せるのです。

このユニークな種は、ハワイのオアフ島の山腹でのみ発見されており、樹洞や岩の割れ目に張られたクモの巣だけに生息しています。

ボーンコレクターの個体が野外で確認されたのは、これまで僅か62匹だけです。

そして今回、ハワイ大学マノア校の研究チームは、この貴重な野生のボーンコレクターを観察し、その行動を報告することができました。

通常、クモの巣に入り込む小さな生物は、クモのターゲットになってしまいます。

しかし、ボーンコレクターは巧妙かつ恐ろしい方法で、クモの目を欺いていると分かりました。

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