クモと共生する肉食のイモムシ「ボーンコレクター」
イモムシというと、多くの人は植物を食べる幼虫を思い浮かべるでしょう。
実際、葉っぱをむしゃむしゃと食べているイモムシを見たことがあるの人は多いはずです。
とはいえ、自然界には肉食のイモムシも存在します。
もちろん、そんな種は稀であり、既知の蝶や蛾の中でも他の生物を好んで食べる幼虫はわずか0.1%に過ぎません。
例えばそれらの幼虫は、ハチやアリの幼虫、他の昆虫の卵など、動きが遅いか、動かない獲物をターゲットにします。
そしてその中には、よりユニークな幼虫もいます。

ハワイ固有の蛾Hyposmocoma属に含まれるそのイモムシは、「ボーンコレクター(bone collector)」と呼ばれており、クモと共生し、クモの巣に捕らえられた獲物を食べるという独特の行動を見せるのです。
このユニークな種は、ハワイのオアフ島の山腹でのみ発見されており、樹洞や岩の割れ目に張られたクモの巣だけに生息しています。
ボーンコレクターの個体が野外で確認されたのは、これまで僅か62匹だけです。
そして今回、ハワイ大学マノア校の研究チームは、この貴重な野生のボーンコレクターを観察し、その行動を報告することができました。
通常、クモの巣に入り込む小さな生物は、クモのターゲットになってしまいます。
しかし、ボーンコレクターは巧妙かつ恐ろしい方法で、クモの目を欺いていると分かりました。