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実は健康志向の人の方が、サステナブル志向の人より食品ロスが少ない / Credit:Canva
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食品廃棄量が少ないのは「持続可能性」志向より「健康」志向の人だった【なぜ?】

2025.04.30 06:30:11 Wednesday

地球温暖化や環境問題への意識が高まる現代、私たちは日々の生活の中で”持続可能性”を強く意識するようになりました。

エコバックを手に持ち、オーガニックな食材を選んだり、環境負荷の少ない食品を手に取ったりする人が増えています。

しかし、「持続可能な商品を選ぶ」という意識は、持続可能とは切り離せない「食品ロスの軽減」にまで繋がっているのでしょうか?

この素朴ながら重要な疑問に答えたのが、オーストラリア・アデレード大学(University of Adelaide)の研究チームです。

彼らは、”持続可能性”と”栄養重視”という2つの意識が食品廃棄行動にどう影響するかを科学的に分析し、予想外の結果になったことを報告しています。

研究の詳細は、2025年4月13日付で『Resources, Conservation & Recycling』誌に掲載されました。

Reducing food waste: Is focusing on nutrition or sustainability better? https://newatlas.com/environment/food-waste-nutrition-sustainability-focus/ Seeking nutrition, not sustainability, reduces food waste https://www.adelaide.edu.au/newsroom/news/list/2025/04/22/seeking-nutrition-not-sustainability-reduces-food-waste
Sustainable food consumption: Sustainability-conscious consumers do not reduce food waste but nutrition-conscious consumers do https://doi.org/10.1016/j.resconrec.2025.108296

持続可能性を意識することは「持続可能な世界」をつくるのか?

最近、スーパーでこんな光景を見たことはありませんか?

オーガニック野菜や地産地消の食品、またフェアトレード認証(生産者に公平な取引を行っている証拠)のチョコレートをカゴにたっぷり入れている人。

これらの食品はサステナブルフードの一例であり、持続可能性を意識し、環境への負荷を最小限に抑え、社会に良い影響を与えると考えられています。

確かに、こうした選択は素晴らしいものです。

でも、ふと疑問が湧くかもしれません。

こうした意識は、本当に持続可能な世界に繋がっているのかな?」と。

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毎年、世界中で大量の食品ロスが生じている / Credit:Canva

農林水産省によると、世界では毎年およそ13億トン(日本は612万トン)もの食品が廃棄されており、その多くは家庭から出ています。

これは、持続可能な社会づくりへの大きな障害です。

たとえば、買ったはいいけど冷蔵庫の奥に放置されて、しおしおになったほうれん草や、気づけば水分が抜けてカピカピになったミニトマト──そんな”食品ロスあるある”、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

そこでアデレード大学の研究チームは、オーストラリア・アデレード市の1030人を対象にオンライン調査を実施しました。

質問内容はシンプルですが本質的なものでした。

たとえば、「あなたは食べ物を選ぶとき、どれだけ栄養を重視していますか?」「環境への配慮をどれだけ重視していますか?」「そして、どれくらい食べ物を捨てていますか?」といった質問が投げかけられました。

さらに、買い物や料理における”計画性”や”つい買いすぎる傾向”についても調査し、これらと食品廃棄量の関係を統計的に分析しました。

その結果、予想外の結果が導き出されました。

次ページ「持続可能性を重視する人」よりも「栄養を重視する人」の方が食品廃棄が少ない

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