働きすぎで頭がおかしくなる」は本当?
世界的に問題となっている長時間労働は、心と体の健康を脅かすことがわかっています。
国際労働機関(International Labour Organization, ILO)によると、毎年80万人以上が長時間労働による健康被害で亡くなっているとされています。
しかし過労によって脳自体が変化するのか、という疑問についてはこれまで謎のままでした。
研究チームはこの疑問を解決するため、医療従事者110人を対象に調査を行いました。
対象者は過労群(1週間に52時間以上働く人、32名)と通常労働群(52時間未満の人、78名)に分けられました。
この基準は、韓国の労働基準法における法定上限時間にもとづいています。
脳の検査には磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)が使われました。
MRIは、体の内部を細かく画像化する技術です。
特にこの研究ではボクセル単位形態計測法(voxel-based morphometry, VBM)とアトラスベース解析(atlas-based analysis)という高度な分析法が用いられました。
これにより、脳のどの部分の体積がどのように変わっているかを、この研究では高精度で測定したのです。
研究では年齢や性別、脳全体の大きさなどの影響を取り除き、純粋に労働時間と脳の関係を調べています。
そして、その結果は驚くべきものでした。