“8時間の呪縛”を解け:睡眠ガイドラインはローカルメイドへ

以上の結果から明らかになったのは、「1日8時間眠るのが万人にとって最善」という画一的な常識にとらわれず、文化ごとの状況に合わせて睡眠を考える必要性です。
研究チームのクリスティン・ウー氏は「理想の睡眠時間は、その人が属する文化圏で『適切』だとみなされる睡眠時間と一致する」と指摘しています。
つまり、文化的に共有された「これくらい寝るのが普通」という基準と自分自身の睡眠パターンが合致しているほど、心身の調子も良くなるのかもしれません。
なぜ文化と健康がこのように結びつくのでしょうか?
研究者たちは「日本人がフランス人よりも90分ほど平均睡眠時間が短いのに健康でいられるのは、深い眠りやREM睡眠などのステージの振り分け方が異なる可能性がある」という仮説を示唆しています。
まだ詳細は分かっていないものの、「短い時間でも質の高い睡眠を得る」文化的習慣や身体的適応が存在するのかもしれません。
他にも考えられる理由として心理的な要因と社会的なリズム要因の両面が考えられます。
まず心理的側面では、周囲の人々と同じくらい眠れていれば「ちゃんと休めている」という安心感や満足感につながり、逆に自分だけ睡眠不足だったり寝過ぎだったりすると罪悪感や不安を感じることがストレスとなる可能性があります。
実際、「社会の規範に沿った振る舞いをしているとき、人はより健康だと感じやすい」という指摘もあります。
次に社会的リズムの側面では、極端な短眠や長眠によって生活リズムが周囲とズレると、たとえば通勤・通学や勤務時間といった日常のスケジュールに支障をきたし、そのミスマッチがストレスや健康悪化を招きうるでしょう。
現代社会では公共交通機関の動く時間帯や職場の始業時間など、何かと「みんなが起きていること」を前提に生活環境が整えられています。
自分だけ睡眠習慣が周囲と大きくずれていると、社会生活で追加の困難や負担が生じるのは容易に想像できます。
一方で、今回の研究が示したように人々の睡眠パターンはどの国でも理想より短めであることから、文化に適応するといっても現実には全体的な睡眠不足が広がっている可能性があります。
これは裏を返せば、世界的に見て睡眠をもう少し増やす余地(=健康を向上させる余地)があることを意味しており、公衆衛生の観点から重要な示唆と言えます。
今回の成果は、文化という視点を取り入れることで睡眠と健康の関係に新たな光を当てました。
従来は個人単位で「○時間眠る人は病気になりにくい」などと言われてきましたが、そうした知見をそのまま国同士で比べると当てはまらないケースがある(=国レベルの平均値から安易に結論を出すのは誤り)ことも示されています。
これからは各地域の文化や生活実態に合わせて、柔軟で多様性のある健康ガイドラインを考案していく必要があるでしょう。
実際、ハイン教授は「一般的な『8時間睡眠』というアドバイスも、文化的背景に合わせて調整する必要がある。万人に当てはまる“一律の理想睡眠時間”など存在しない」と強調しています。
睡眠という普遍的な生理現象にも文化の影響が及ぶという視点は、人々の健康管理や医学的助言に新たな展開をもたらすかもしれません。
今後は社会文化的な要因を考慮した上で、各国・各地域に適した睡眠のとり方や改善策を模索していくことが期待されます。
どうでもいいけど、イカれたネズミの次はジト目にハマってるのかな、ライターさん
イカれたネズミも復活頼みます。
団塊ジュニアと団塊が日本のあらゆる統計をゆがめているんですよね。
そのせいで実態を全く反映できないっていう。
彼らが凄すぎたのです。