なぜ「私の1日の食事」系動画は“有害”なのか?
「私の1日の食事」系の動画は、ここ10年で爆発的に人気を集め、現在では再生数が数十億回を超えるジャンルとなっています。
動画内では、インフルエンサーたちがカロリー計算を意識した食事や、「クリーンイーティング(加工食品や精製された砂糖を避け、自然由来の食品を重視するスタイル)」的な食生活を披露します。

しかし、多くの動画作成者は栄養や健康に関する専門知識を持っておらず、その内容は科学的な根拠に乏しい場合が少なくありません。
動画によっては危険な食行動を助長する可能性すらあるのです。
例えば、「食事を極端に減らす(低カロリー)」「食事の一部またはすべてをスキップする」「特定の栄養素(糖質や脂質)を極端に制限する」「下剤などの使用を暗示または示唆する」といった描写が含まれていることもあります。
さらに問題なのは、それらの動画が特定の美的基準(痩せている、引き締まっている)を暗黙のうちに“正解”として提示している点です。
多くの動画には美容フィルターが使われ、カメラワークで身体のラインが強調されています。
「この食事をすれば、あなたもこんな身体になれる」という誤ったメッセージが刷り込まれる構造になっているのです。

ですが、こうした前提そのものが誤りです。
人の健康的な栄養状態や体型とは、遺伝や体質、生活環境、年齢、活動量、慢性疾患の有無や服薬状況など医療的背景など、多くの要素で決まるからです。
つまり、「あの人の真似をすれば、私も同じようになれる」は幻想なのです。
むしろ、それに固執することで健康を損ねることすらあり得ます。
では実際に、「私の1日の食事」系の動画は、それを視聴する私たちにどんな影響を及ぼすのでしょうか。5つの影響を考えてみましょう。