“生きた個体”は見つかるのか?
マーシュ博士らは、オーストラリア研究評議会などの支援を受け、標本の年代測定と、この洞窟でなぜ生きた個体が見つからなかったのかという謎の解明に取り組んでいます。
洞窟に残されていた生物の年齢を測定し、「この生態系に何が起きたのか」を探ろうとしているのです。
実は、近くの別の洞窟では、生きた新種の大型クモも発見されており、洞窟内で現在も生き続けている種が存在することは確認されています。
このクモもまた、目がなく、淡い体色をしており、巨大な巣を岩の間に張って生息していました。
画像はこちらから。クモが苦手な方は閲覧をお控えください。

興味深いのは、これらのクモやスズメバチのような種は、たった1つの洞窟にしか生息していない可能性があるという点です。
これはちょっとした環境の変化や捕食者の侵入によって、簡単に絶滅してしまうことを意味します。
実際、チームが調査中に見つけたのは「スズメバチ」だけではありませんでした。
洞窟内には、大量のキツネの糞や、死んだキツネの個体も確認されました。
現在、キツネが洞窟生物を捕食している可能性についても調査が進められています。
さらに問題なのは、今回調査が行われた地域が「大規模な再生可能エネルギー開発」の計画地に含まれていることです。
調査が行われた洞窟も、今後の開発で破壊されるリスクに晒されています。
ナラボーの洞窟は、まだ誰にも知られていない“生物のタイムカプセル”です。
もし失われてしまえば、そこにしか存在しない生命も永遠に失われてしまうかもしれません。
環境にやさしいという売りの再生可能エネルギーの開発で環境が壊されるという不思議な状況。