78歳の脳にも「新しい神経細胞」が出現できると判明
78歳の脳にも「新しい神経細胞」が出現できると判明 / Credit:Canva
brain

78歳の脳にも「新しい神経細胞」が出現できると判明 (3/3)

2025.07.04 18:00:51 Friday

前ページ78歳の脳にも新しい神経細胞

<

1

2

3

>

78歳の脳にも再生力——認知症やうつ病治療への新たな希望

78歳の脳にも再生力——認知症やうつ病治療への新たな希望
78歳の脳にも再生力——認知症やうつ病治療への新たな希望 / Credit:Canva

今回の研究によって、「人間のは高齢になっても新しい神経細胞を生み出す力を持っている」という可能性が示されました。

これは脳科学の世界において長年続いてきた議論に、一つの明確な答えを提示したことになります。

またこの結果は、「人間の脳が持つ回復力や柔軟性は、これまで考えられていたよりもずっと高いかもしれない」という希望を与えるものでもあります。

この研究をリードしたフリセン教授は、今回の発見を「人間の脳の変化を理解するための重要なパズルのピース」と表現しています。

確かに、人間の脳が加齢によって単純に「衰えるだけ」ではなく、「新しく生まれ変わる可能性」さえ持っているということは驚くべき事実です。

しかも、この再生が起きている「海馬」という場所は、記憶や学習、感情の調節を司る重要な脳の領域です。

つまり、私たちの「新しい記憶」や「気分の安定」といった、人間らしさを支える大切な機能が、脳の中でひそかに生まれている少数の細胞によって支えられている可能性があるのです。

また研究チームは成人の脳の海馬以外の部位でもニューロン新生が起きているのではないかと推測しています。

さらに興味深いことに、研究では人によって新しく生まれる神経細胞の数が大きく違うことも示されました。

これは、「脳の新しい細胞を作り出す力」は生活習慣や環境、遺伝的な要因など、多くの要素によって影響を受けている可能性を示唆しています。

言い換えれば、脳が新しい細胞を生み出す力を高める方法が見つかれば、記憶力の衰えを防いだり、精神的な健康を保ったりすることができるかもしれません。

実際、アルツハイマー病やうつ病などでは、海馬での新しい神経細胞の誕生が著しく減少することが知られています。

もし脳の再生力を刺激して、新しい神経細胞の誕生を促すことができれば、これらの病気に対する全く新しい治療法の可能性が開けるかもしれません。

言ってみれば、「脳自身が持つ再生能力を最大限に活かす治療」が現実になる可能性があるのです。

とはいえ、今回見つかった新しい細胞の数は非常に少なく、まだまだ謎が残されています。

これら少数の細胞が脳全体の機能にどれほどの影響を及ぼしているのか、あるいは細胞の再生力を増やすには具体的に何をすればよいのか、といった疑問は解決されていません。

今後のさらなる研究が、この小さな発見を人間の脳の驚くべき可能性へと広げていくことでしょう。

<

1

2

3

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

脳科学のニュースbrain news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!