人々を癒す「セラピードッグ」たちの効果は動画でも得られる?
セラピードッグとは、心のケアを目的として特別に訓練された犬のことです。
彼らは病院、老人ホーム、学校などで人々と触れ合い、精神的な安心や癒しを提供する役割を担っています。
盲導犬のような身体的サポートを行う補助犬とは異なり、セラピードッグの主な働きは情緒的な安定やストレスの緩和です。

従来、セラピードッグの効果は対面で直接触れ合うことが前提でした。
撫でる、目を合わせる、毛の感触や体温を感じるといった、五感を使ったやり取りこそが癒しの本質だと考えられてきたのです。
しかし、新型コロナウイルスの流行により、対面でのケアが困難となった時期、UBCOが運営するBARK(Building Academic Retention through K9s)プログラムの研究チームは、バーチャルで癒しを提供することに挑戦しました。
彼らが開発したのが、Virtual Canine Comfort Module(VCCM)です。
これは、5分間の短い動画で、セラピードッグとそのハンドラー(飼い主)が穏やかな語りとともに犬と過ごす様子を記録したものです。
ハンドラーは、視聴者に向かって「最近、調子はどうですか?」と問いかけたり、犬の毛並みや好きな撫で方について語ったり、視聴者に自分がセラピードッグを撫でているところを想像するよう勧めたりしながら、まるで本当にそこに犬がいるかのような臨場感を演出します。
視聴実験は2つのグループで行われました。
1つ目は大学生963名(平均年齢21歳)、2つ目は一般成人122名(平均年齢41歳)です。
どちらも動画視聴前後に、5段階のストレス自己評価(VAS)を実施し、動画の効果を検証しました。