「自己防衛」と「反抗」が無表情にしている
まずはZ世代の無表情をつくる2つの要素を考慮しましょう。
1. 感情の自己防衛
Z世代は、SNSという常に他者の視線にさらされる空間で自己表現を行っています。
そのため、感情を露わにして人々に「恥ずかしい」と見なされることを恐れ、極力表情や反応を抑える傾向が見られます。
心理学者Vermaら(2023)の研究によると、無表情は感情の自己調整の戦略として機能し、過剰な評価や判断から自分を守る役割を果たすとされています。
Z世代の無表情は、まさにこうした「デジタル自己防衛」の表れと考えられるのです。
2. 演技的な文化への反抗

かつてのSNS文化では「カメラの前では笑顔」が当然視されていました。
しかし、Z世代はこのポジティブな演技に強い違和感を抱き、それを「わざとらしく、信用できない」と感じています。
カーティン大学の研究(2025)は、インフルエンサー文化の変遷を分析し、今では「リアルで飾らない態度」や「無感動な表情」にこそ本物らしさが宿ると考えらえていることを指摘しています。
そのためZ世代の無表情は、作られた笑顔ではなく、むしろ何も演じない姿勢で共感を呼ぶ、新しいスタイルなのかもしれません。