暑さと砂糖摂取の科学的な関係

研究チームは今回、2004年から2019年までの米国の世帯データを解析しました。
これはNielsen社が収集した大規模な食品購入記録で、全国4万~6万世帯の詳細な購入情報が含まれています。
これを気象データと組み合わせて分析した結果、明確なパターンが浮かび上がりました。
それは「気温が高くなると砂糖の摂取が増える」という傾向です。
特に12~30℃の範囲では、気温が1℃上がるごとに1人あたり0.7グラムの砂糖が追加で消費されることが示されました。
主な原因は、砂糖入り飲料(ソフトドリンクやフルーツドリンク)と冷菓(アイスクリームなど) の消費増加です。
一方で、パンや焼き菓子などからの砂糖摂取はむしろ減少しており、人々が暑さの中で「冷たくて水分を補給できる食品」を選んでいることがうかがえます。
ただし、気温が30℃を超えると摂取量の増加は鈍化、あるいは減少傾向も見られました。
これは極端な暑さが食欲を抑える生理的効果や、強烈な喉の渇きを水で補う行動が影響していると考えられます。
研究者らはこの傾向を気候変動シナリオに基づき予測しました。
その結果、今世紀末までに平均気温が約5℃上昇すると、アメリカ人は1人あたり1日平均2.99グラムの砂糖を追加で摂取する可能性が高いと推定されました。
特に夏や秋には4グラム近い増加が予想されています。