日本の住宅事情と健康リスク

日本の家は、世界と比べて「暑さ」「寒さ」に弱い――そんな指摘をご存じでしょうか。
実際、日本の住宅の9割以上が、世界保健機関(WHO)が推奨する「冬の最低室温18℃」をクリアできていません。
古い家や断熱の甘い住宅が多く、冬になると室内が外と同じくらい冷え込む、夏は熱気がこもる……そんな環境で過ごしている人も少なないのです。
また問題なのは寒さだけではありません。
これまでの研究によると、住宅の暑さや寒さは循環器疾患や呼吸器疾患、睡眠障害の増加、QOL(生活の質)の低下など、様々な健康被害につながることが報告されています。
しかし一方で、住宅の温熱環境、特に住宅の暑さ寒さと、うつ病などの精神疾患の関連はこれまでほとんど検討されていませんでした。
今回の研究では、その点を明らかにすることを目的としました。