ゲノム解析で判明した「ハイブリッド」
捕獲された鳥の外見は両種の特徴を折衷していました。
頭部や目の上の模様はグリーンジェイに近い一方、背中や尾羽の模様はアオカケスに似ていました。
また、鳴き声も両者の特徴を持ち合わせており、アオカケスの鋭い声と、グリーンジェイ特有の二音の低い声を織り交ぜるように鳴いていたと報告されています。
ハイブリッド個体の画像はこちら。(左がアオカケス、中央がハイブリッド、右がグリーンジェイ)
決定的だったのはゲノム解析です。
血液サンプルから得られたDNAを詳細に調べた結果、この個体が「メスのグリーンジェイ × オスのブアオカケス」の第一世代(F1)であることが判明しました。
母系のミトコンドリアDNAはグリーンジェイと一致し、核DNAは両者からほぼ半分ずつ受け継いでいたのです。
チームはこの結果を「700万年以上前に分岐した異なる属同士の鳥が自然界で交配した、初めての事例」と位置づけています。
これまで確認されてきた鳥類の交雑は、近縁種同士に限られる場合が大半でした。
アオカケスとグリーンジェイの組み合わせは、進化的な距離の大きさから想定外とされていたのです。
さらにeBirdの膨大な観察記録を分析したところ、2000年以降、両者が同じ場所で目撃されるケースが増加していることも分かりました。
将来の気候シナリオを使った分布予測モデルでも、両者の生息域はさらに北へ移動し、重なりが続くことが示されています。
つまり今回の発見は、今後さらに同様の事例が増える可能性を示す「先駆け」なのです。
今回のハイブリッド鳥は、単なる珍しい生き物の発見にとどまりません。
気候変動によって分布が変わることで、これまで出会うことのなかった動物同士が交わり、新しい遺伝的組み合わせが生まれる現象の象徴といえるのです。
あと半世紀もすれば混血の子が圧倒的多数派になるのでしょうね。
たんぽぽの話を思い出します。