スマトラサイも「消滅寸前」だが一筋の光
同じく絶滅が危惧されているのがスマトラサイです。
このサイは体毛が多く、絶滅したケナガサイの近縁種でもあります。
スマトラサイは今、世界にわずか推定34~47頭しか残っていません。
ここ3年は推定値が横ばいのままで、個体数は極めて低い水準が続いています。
スマトラ島北部やボルネオ島の深い森に生息していますが、密猟や生息地の消失、個体間の距離が遠いことなどが複合的に影響し、繁殖そのものが非常に難しい状況にあります。
さらに、残った個体は近縁同士が多いため、遺伝的多様性の低下が大きな課題です。
保全団体による飼育下繁殖プログラムも進行中で、現在11頭が飼育されていますが、これらの個体はほとんどが親戚同士。新たな「血」がどうしても必要とされています。
その中で、最近になって希望が見え始めています。
2025年、スマトラ島南部で保全犬が発見した糞が「スマトラサイ由来である可能性が高い」との検査結果が出ました。
最初の検査はクリアしており、確定にはあと2つの検査が必要です。
もし本当に南部にも生存個体がいることが確認されれば、飼育下繁殖プログラムに新たな遺伝的多様性を持つ個体を迎え入れられる可能性が高まります。
関係者も「ジャワサイもスマトラサイも、かつては20頭台からの回復経験があり、絶滅は避けられる」と語っています。
今は保護活動の正念場であり、現場では日々小さな命が生まれ、スタッフが懸命に活動を続けています。
そしてサイの未来は、世界中の人々の行動や関心にかかっています。
国際社会の協力や支援、保全団体への参加や寄付があれば、彼らは再び回復する可能性を持っているのです。
「世界サイの日」をきっかけに、絶滅寸前のサイたちが今どんな現実に直面しているのか、私たちができることは何か、考えてみることも大切でしょう。