4億年前の植物が示す「途中段階」
この謎に答えを与える存在として注目されたのが、スコットランド北部のリニー・チャートと呼ばれる地層から見つかった化石植物、ホルネオフィトン・リグニエリ(Horneophyton lignieri)です。
年代は約4億700万年前。
植物が陸上で多様化を始めた時代に生きていました。
最新の顕微鏡技術を用いた再調査により、この植物の内部には、現代の植物には見られない特異な通導組織があることが分かりました。
水と糖が「別々の管」ではなく、「同じ細胞群」を通って運ばれていたのです。
この組織の主役は「移行細胞」と呼ばれる細胞で、水と糖の両方を同時に移動させていました。
つまり、師部のような性質をもつ細胞が先に現れ、木部はまだ完全には分化していなかったと考えられます。
この仕組みは、小型の植物でしか機能しませんが、初期の陸上植物にとっては大きな進歩でした。
実際、ホルネオフィトンはそれ以前のミリメートルサイズの植物よりもはるかに大きく、高さ20センチほどまで成長できたとされています。
一方、同時代に生きていたAsteroxylonという植物では、すでに木部と師部が分かれた維管束系が進化しており、ホルネオフィトンの倍ほどの大きさに成長していました。
この違いが、やがて巨大な樹木やシダ植物が誕生する流れへとつながっていきます。
ホルネオフィトンは、維管束系が「未完成」だった時代の姿をそのまま残した、まさに進化の途中段階を示す存在だったのです。
植物が地球を変えた瞬間
今回の研究が示したのは、植物が突然巨大化したわけではなく、「水と糖をどう運ぶか」という体内システムを少しずつ改良しながら進化してきたという事実です。
4億年前のホルネオフィトンは、現代植物の祖先がすでに複雑な体内構造を持ち始めていたことを教えてくれます。
そして、その小さな一歩が、地球を森で覆い、現在の生態系を形作る大きな転換点となりました。
足元の植物を見上げるとき、そこには4億年にわたる試行錯誤の歴史が刻まれているのかもしれません。

























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ホルネオフィトンは苔植物から出てきたんでしょうかね?
観葉植物を育てていますが、やはり生き物というのは不思議です。🪴