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衝撃の位置と程度を色変化で示す塗料が開発される。※イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
science

衝撃の位置と強さを「色の変化」で示す新塗料 (2/2)

2026.04.06 11:30:10 Monday

前ページ見えない衝撃を“色で残す”という発想

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シルク由来の殻と分子の変形が生む色の変化

この塗料の中心になっているのは、「ポリジアセチレン」という高分子です。

この物質は、整った状態では青く見えますが、強い力を受けて分子の並びが乱れると赤く見えるようになります。

分子の骨格がねじれたり歪んだりすると、内部の電子の動き方が変わり、吸収するの性質も変わるためです。

要するに、衝撃による分子の変形が、そのままの変化として表れるわけです。

ただし今回の研究の工夫は、その高分子をそのまま使わなかった点にあります。

研究チームは、この色が変わる高分子の外側を「シルクフィブロイン」というタンパク質で包みました。

これはカイコの繭から取り出した絹の主成分を再構成した材料です。

外側にこの殻があることで、弱い力では反応しにくくなり、一定以上の衝撃が加わったときに内部の高分子がはっきり色を変えるようになります。

つまり、不要な反応を抑えつつ、強い衝撃にはしっかり反応する仕組みです。

研究では、この塗料を紙の上に載せて衝撃試験を行い、肉眼でも分かりやすい色変化が主に220~440ニュートンの範囲で確認されました。

さらに蛍光解析まで使うと、およそ100~770ニュートンの範囲まで検出できることも示されています。

見た目の変化だけでなく、解析を組み合わせることで、より広い範囲の力を読み取れるのです。

応用例も興味深いものがあります。

研究者らは、ヘルメット模型に塗って衝撃がどこにどう広がるかを調べたほか、踏みつけによって足裏の力の分布を可視化する(靴の中敷きへの応用)実験も行われました。

さらに、ドラムの打面に塗って、演奏中にどこをどれほど強く叩いたのかを色で示す例も紹介されています。

このほかにも、配送パッケージの衝撃履歴の記録なども想定されています。

「見えない衝撃を、色という形で表面に残す」

この新しい塗料は、これまで数字や装置の中に閉じ込められていた「力の情報」を、誰の目にも分かる形へ変える技術と言えそうです。

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