変化が見つかったのは「感情」と「覚醒」に関わる脳領域だった
今回、体積の違いが確認された扁桃体は、感情やストレス反応、情動記憶に関わる脳領域です。
一方、視床は感覚情報の中継地点として知られ、覚醒、注意、睡眠調節にも関係しています。
つまり、交代勤務者で変化が見られたのは、睡眠の乱れや疲労、気分の変化と関わりやすい領域だったのです。
研究チームはさらに、脳の中で情報をやり取りする“配線”にあたる白質にも注目しました。
その結果、交代勤務者では、神経情報の通り道の一部に、ごく小さな微細構造の違いが確認されました。
また、交代勤務者は、数値記憶、流動性知能( 新しい問題に対応したり、情報をその場で処理したりする力 )、課題を素早く進める力に関わるテストの一部で、非交代勤務者より低い成績を示しました。
もちろん、この結果だけで「交代勤務が認知機能を低下させた」と断定することはできません。
しかし、脳構造の変化が見られた領域と、睡眠、感情、認知に関わる機能が重なっている点は、研究上重要な意味を持ちます。
さらに興味深いのは、交代勤務をやめた人の追跡結果です。
研究では、2回のMRI撮影を受けた人のうち、交代勤務を続けた人と、途中でやめた人を比較しました。
すると、交代勤務を続けた人では、扁桃体や視床の体積が平均的に減少していた一方、交代勤務をやめた人では、約2.4年のあいだにその減少が止まり、平均値ではわずかに増える傾向も見られました。
これは、交代勤務に関連する脳の変化が完全に固定されたものではなく、働き方や生活リズムの変化によって、少なくとも一部は変わりうる可能性を示唆しています。
ただし、これらは観察研究であり、交代勤務が直接これらの変化を起こしたと証明したものではありません。
この研究が示しているのは、交代勤務という働き方が、睡眠や体内時計だけでなく、脳の構造とも関連している可能性があるということです。




























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