オス1匹から、オスとメスのクローンが同時に生まれた
クローン作りでは、ドナーの細胞から取り出した核を、核を抜いた卵子に移します(体細胞核移植)。
この方法では生まれるクローンはふつうドナーと同じ性別になり、オスしか残っていない状況では繁殖を再開できません。
研究チームはまず、生まれたばかりのオスのマウスの精巣の細胞をドナーにして、核移植を行いました。

そのあと、胚に何度も針を刺して傷めることがないよう、Y-CUTの材料は電気を使って胚に送り込みました。
こうして13匹の子が生まれ、そのうち10匹(76.9%)がメスでした。
メスはすべてX染色体を1本だけ持つXOで、オスもメスもそろって大人まで育ちました。
同じオス1匹のゲノムから、オスのクローンとメスのクローンが並んで誕生したことになります。
このクローン同士を交配すると次の世代が生まれ、その娘たちにはX染色体を2本持つ普通のメスも含まれていました。
次に試されたのは、大人のオスのしっぽから採った血液の細胞です。
Y-CUTを使わない対照では、生まれた7匹はすべてオスでした。
Y-CUTを使った場合は、生まれた11匹のうち10匹がメスになりました。
しっぽから血を採っただけなのでドナーのオスは生きたままで、自分の体細胞から作られたメスのクローンと交配して子を残しました。
さらに、1日または1か月凍らせておいたオスの血液細胞からも、メスのクローンが生まれています。
これらのメスとオスのクローンも、交配して次の世代をつくりました。
ただし、この研究はまだ専門家による査読を受けていません。
またX染色体が1本だけのメスは、げっ歯類では子を産める場合がありますが、ウマやヒトを含む多くの哺乳類ではこの組み合わせだと繁殖できません。
他の動物に広げるには、XOの胚にX染色体を足すような、今はまだ存在しない技術との組み合わせが必要になるかもしれません。
野生動物の保全に生物工学を役立てる非営利団体の主任科学者で、今回の研究には関わっていないベン・ノバック氏は、「繁殖の科学における、とても見事で土台になる突破口だ」と評価します。
そのうえで同氏は、種をよみがえらせるような極端な場面でなら、長期的に使える可能性があると述べています。
残りがオス1匹だけになってしまった動物でも、しっぽから採った血液の細胞が次の世代の母親になるかもしれない——その道筋が、マウスで初めて示されました。
自分のクローンとお見合いをしたオスの気持ちについては、さすがに論文にも書かれていません。
ここからは、クローンをもっと知りたい人へ
クローンとは、1匹の動物の体の細胞から作る、もう1匹の動物のことです

ここで取り上げるクローン動物は、ドナーと呼ばれる1匹の動物の体の細胞をもとにして生まれます。
ただ、クローン動物が生まれる率は1%ほどととても低く、ほとんどは育つ途中で死んでしまいます。
そこで理化学研究所のチームは、育つのを妨げると分かっていた2つの原因を同時に取り除き、マウスのクローンが生まれる率を最大24%まで上げましたが、ふつうの受精卵から育つ胚の率(50%以上)の半分にも届きませんでした。
胎盤が大きくなりすぎるという、クローンだけに見られる異常も、この方法では治りませんでした。
また、理化学研究所の小倉淳郎室長らのグループは、マウスの血液1滴にふくまれる白血球からクローンマウスを作っています。
白血球のうちリンパ球は、遺伝子の一部が組み換わっているため、クローン作りには向きません。
そこでグループは、直径8マイクロメートル(1000分の8ミリメートル)以上の白血球を選ぶことで、リンパ球ではない白血球を約85%の正確さで選び出しました。
こうして白血球から生まれたメスのクローンは、オスと交配して子を残し、寿命もふつうのマウスと変わりませんでした。





自分のクローンとセックスしたってこと?完全な自己完結…。