・ライムの果汁が肌に付着したまま太陽の光を浴びると、「植物性光線皮膚炎」を引き起こす
・ライムに含まれている「ソラレン」という光に敏感な化合物が原因で、絞ったりして細胞が壊れることで外に飛び出す
・ライム以外にも「ソラレン」を含む植物は数多くあり、レモンなどの柑橘類やセロリ、イチジクなどには注意が必要
日の当たる海辺で、ライムサワーを片手にバカンス気分…。しかしこの組み合わせ、実はとても危険なのです。
イルリサット病院の院長であるルイ・ペニンガ医師は、肌に付着したライムの果汁に日光が当たると、ライムに含まれる「ソラレン」という光に敏感な化合物と化学反応を引き起こし、ひどい水ぶくれができてしまうと説明しています。
ソラレンは、それを含む植物の細胞が何らかの原因で破壊されて外に飛び出し、紫外線に刺激されることで化学反応を引き起こします。そしてその化学反応が、肌の表面上で起こると深刻なダメージが現れるのです。この症状は、一般的に「植物性光線皮膚炎」という症状で知られています。
今回の症例は、オーストラリアから北極のグリーンランドに観光に来た29歳の男性に見られました。
男性は、ハイキングの途中で水筒にライムを2つ絞り入れたそうです。そして2日経ったある日、男性の指と手には紫色の小さな跡がいくつもできていました。その紫色の跡はすぐに悪化し、火傷したときにできるようなかゆみを伴う水ぶくれを引き起こしたのです。男性は「傷はみるみるうちに悪化していき、ほとんどゾンビの腐食した肌のように豹変してしまった」と言います。
ペニンガ医師によると、ライムが絞られたことで細胞が破壊されソラレンが外に飛び出し、肌に付着したまま放置したことが原因だと説明しています。また医師によると、北極圏では夏場になると一日中太陽が照っているため、グリーンランドでさえ「植物性光線皮膚炎」には注意が必要だとのこと。
また、ライム以外にもソラレンを含む植物は数多くあります。レモンなどの柑橘類からセロリやイチジク、そしてパースニップと呼ばれる人参に似た植物もそのひとつです。またベルガモットという柑橘植物もソラレンを含んでおり、注意が必要です。
また「植物性光線皮膚炎」の症状は、リゾート地 で働くバーテンダーなどによく見られるそう。日光の下でライムを絞る作業の多いバーテンダーは、深刻な水ぶくれや肌のダメージに悩まされています。
グリーンランド皮膚炎にかかった男性は、その後医師の手当を受け、2ヶ月ほどで完全に治ったそうです。「植物性光線皮膚炎」の処置には、細菌の感染を防ぐために抗生物質を投与し、さらに日光から肌を守るために手袋の装着が必要だとのこと。ビーチやキャンプ場などでレモンやライムを絞る機会があれば、ぜひとも手袋の着用を。
via: livescience / translated & text by くらのすけ