隔絶状態が続くと幻覚症状も…
1998年に起きた「オーストリア少女監禁事件」の被害者ナターシャ・カンプッシュさんは「暗闇の中で隔絶されることで思考能力がなくなり、犯人の指示に従順になってしまう」と話しています。また、バイオリズムの狂いは、幼年期の肥満症や早熟の原因でもあり、またガン発症や心臓病のリスクを格段に高めているのです。
さらに、隔絶状態は「幻覚症状」をも引き起こします。常に外部から刺激を受け取る脳にとって、隔絶状態は究めて稀なこと。そうした刺激の欠如により、脳は混乱して、誤った思考や感情を勝手に誘発するのです。アラーチ氏も「3日目にはすでに部屋中が泡で溢れかえる幻覚を見た」と報告しています。
「絶対の孤独」は精神だけでなく身体的な危険もついてまわります。しかし、今回実験に挑戦したアラーチ氏は、挑戦中に「家族や友人がどれだけ大切な存在か実感したよ」と利益もあった様子。もちろん彼のような無謀な挑戦はオススメできませんが、適度な「孤独」は、自分の人生を見つめ直し、精神的に成長する良いきっかけとなるでしょう。