■イタリアの「El.En. Group」が、落書きを除去できるレーザーマシンを開発
■フィレンツェのボランティア団体である、通称「美の天使たち」が、そのマシンを使って、「ポンテ・ヴェッキオ」という橋の清掃を開始
■このマシンは、レーザーで落書き部分だけを気化するので、下の壁や石像部分は、まったく傷つかない
天使の魔法の杖も顔負けの活躍です。
イタリア、トスカーナ州の都フィレンツェを流れるアルノー川に架けられた橋「ポンテ・ヴェッキオ」。
この橋はフィレンツェ最古の橋で、中世的な石橋の上に宝飾店がずらっと軒を連ねる美しい景観が有名です。しかしポンテ・ヴェッキオは、地元の若者や観光客によって、数多く落書きされており、せっかくの美しさが台無しになっているのです。
この危機に、トスカーナのボランティア団体が立ち上がりました。通称「美の天使たち(Angels of Beauty)」を結成。ポンテ・ヴェッキオをかつての美しい姿に戻すため、落書き除去作業を始めています。
そこで大活躍しているのが、イタリアのレーザー開発会社「El.En. Group」が制作した、世界初の落書き除去マシーンです。
「レーザー」で傷つけずに落書きを除去
このマシンは懐中電灯サイズで、フレスコ画から石像、銅像に到るまですべて安全に落書き除去を行うことができる優れもの。
一般的な汚れの研磨作業に用いられる「サンドブラスト法」は、砂のように細かな研磨材を表面に吹き付けて研磨する方法ですが、これだと貴重な遺産を傷つけてしまう恐れがあります。
しかし、このレーザーマシンにその心配はまったくありません。El.En. Groupの開発部長であるパオロ・サルバデオ氏は「マシンから放たれるレーザーにより、上部の落書き部分だけを気化することができるので、石橋はまったく傷つかない」と説明します。

現在、すでに世界28ヶ所のユネスコ世界遺産区域の落書きの除去が完了。同社はこのマシンを、芸術作品の修復に使用してもらう目的で、世界中の博物館や美術館に提供しています。