
Point
■ナイジェリア大学の研究チームが、熟れたスイカをかなりの精度で特定できる方法を発見
■アフリカの伝統ドラム楽器「イグバ」を叩いて出る音が、熟れたスイカを叩くときの音とほぼ一致する
■記録された両者の周波数も驚くほど一致しており、チームは現在周波数で熟れたスイカを特定できる数学モデルを作っている
スイカ選びの必死さが伝わる研究だ。
ナイジェリア大学の音響学専門家であるスティーヴン・オンウビコ氏は、ナイジェリアの伝統的なドラム楽器「イグバ」を使ったベストなスイカ特定方法を見つけたそうだ。
熟れたスイカを見つけるには表面を軽く叩いて、スイカの奥深くににコォーンとこだまするような反響音が出れば良いらしいのだが、なかなか聞き分けが難しい。
ところが「イグバ」を叩いたときの音が、熟れたスイカを叩くときの音とほぼ同じであるというのだ。つまり「イグバ」の音をうまく聞き分けることができれば、十中八九美味しいスイカを当てられるらしい。
アフリカの伝統楽器「イグバ」の音とほぼ同じ
オンウビコ氏はブリガムヤング大学の物理学者トラシアン・ニールセン氏およびシドニー大学の音楽研究家アンドレア・カリルアンナ氏と協力して、スイカの表面を軽く叩いて周波数を記録する「ドラミング測定」を行なった。
これによって熟れたスイカの周波数を導き出している。
その後、「イグバ」の周波数を記録しスペクトル分析したところ、イグバと熟れたスイカの音は驚くほど似ていることが分かったのだ。
こちらが熟れたスイカ、もとい「イグバ」ドラムの音である。
「イグバ」は縦70〜75cmほどの円柱状をしたドラム楽器で、ナイジェリアでは一般的に広く知られている。中が空洞になって音が反響するような作りになっているアフリカの伝統楽器だ。
そして研究チームのニールセン氏によれば、「イグバ」のピッチ分析がスイカ内部の成熟度や品質を測定する良い指標となるそうだ。
もちろんベストなスイカを探し出せるようになるには「イグバ」聞き分けの訓練が必要だという。

最終的に研究チームは音を用いた数学モデルを作って、イグバの周波数と同じスイカを100%の確率で特定できるようにする予定だ。現在のところ、モデルは6割の確率で熟れたスイカを特定できるらしい。
なんとも必死だ。
オンウビコ氏は「ほとんどの人が身の回りの雑音にあまり耳を傾けないのですが、音に気を配ることで日々の暮らしを少しでも向上させることができるのです」と話した。
私たち日本人にとって「イグバ」は馴染みのない楽器なので、どのくらいの強さで叩けば良いか分からない。あまりに強く叩きすぎて、スイカの品質を損なわないよう気をつけたいところだ。