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非常に珍しい「地球に近づく銀河」の精密画像をNASAが公開 (3/3)

2019.05.28 Tuesday

前ページ光のドップラー効果

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青方偏移を起こしている銀河

天体観測は単純に光だけを見ているわけではない。もっと細かな光のスペクトルという星の放つ電磁波の成分を分析している

物質は素材によって光の成分を吸収したり反射したりする。鉄はピカピカした灰色だが、土は茶色く見える。こういうのは全て物質がその成分に応じて光の一部を吸収しているためだ。

同じ方法で、光のスペクトルを分析すると、遠い天体の構成材料がわかるようになる。NASAが遠い天体の構成成分まで言及できるのはそのためだ。

同じ成分の天体を見比べたとき、片方が赤く見えた場合それはその天体がすごい速度で遠ざかっていることを意味している。ハッブルはこの方法で、地球から遠い天体ほど離れていくスピードが速いことを発見した。そして、それが宇宙膨張の証拠になったのだ。

画像
Credits: NASA, ESA, STScI, and V. Rubin

今回NASAが公表したM90は、乙女座銀河団に属する銀河の1つだ。この天体は膨張する宇宙の中では珍しいことに青方偏移(ブルーシフト)を起こしており、地球へ非常に速い速度で近づいている状態にあるという。

では、いずれは我々の天の川銀河に到達するのだろうか?

実はそうではない。このM90は、乙女座銀河団が生み出す重力の特殊な軌道に乗っていて、その作用で地球方向へ加速されているそうなのだ。時間が経てばこの銀河は今度は地球から離れる方向へと加速されるだろう。

そして、乙女座銀河団全体は、やはり地球からは遠ざかるように移動しているという。

なんにせよ、膨張を続けるこの宇宙では、青方偏移を起こして観測される銀河というのは非常に珍しい状態だ。

NASAのページでは、今回のM90の他にもハッブル宇宙望遠鏡が撮影したメシエ・カタログの様々な天体写真が掲載されている。興味が湧いたならこの機会に覗いてみるのもいいだろう。

Hubble’s Messier Catalog

火星はもう水の惑星に戻せない? 大量の水が火星から消えた理由

reference:nasa,skyserver/written by KAIN

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