Point
■30年ぶりに全面改訂された国際疾病分類(ICD)が今月世界保健機関(WHO)へ提出され、初めて「燃え尽き症候群」が病気として認定された
■ICDは世界で統一的な診断基準を提示するために編纂された手引書で、病院や保険会社の病気判断基準として広く使用されている
■他にもビデオゲームがギャンブルと並んで中毒として認定されている
「燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな…」
燃え尽き(バーンアウト)症候群という症状を知っているだろうか?
これはある日突然、意欲が燃え尽きてしまう状態のことだ。発症前は周囲が心配するほど熱心に仕事に取り組んでいたのに、ある大きな仕事を一山超えたら、仕事もプライベートも一切興味がなくなり、何もやる気が起きなくなってしまう。
これは単純な気分の問題なのか、それとも精神障害と判断して良いのか、これまで非常に曖昧に扱われていた。
しかし、今後燃え尽き症候群は国際的に正式な精神障害として扱われることになる。
燃え尽き症候群については、WHO加盟国により2022年1月1日の発効に合意されているICD-11に疾病として記載される。
ICDとは?
ICDとは、世界で統一した診断基準を提示する目的で、国連WHO(世界保健機関)により作成されている疾患の分類の手引書だ。
ここに正式に記載されるということは、その症状が病気として認められたことになる。
しかし、精神疾患の診断基準というと、「DSM」という手引書も有名なため、「どう違うの?」と疑問に思う人もいるかも知れない。
DSMは米国精神医学会から刊行されている精神疾患の分類診断手引書であり、精神疾患に限定された手引書だ。
ICDはWHOが国際的な同意を得て作成していて、精神疾患以外にも全ての身体疾患・障害についても包括的に分類している。そのためDSMは国の病気認定などでは利用されてはいない。
病気の認定、判断としてはWHOの発効するICDの方が重要ということになるわけだ。