Point
■NASAが公式Twitter上で「月に雨が降っている?」とツイート
■月面に降り注いだ流星雨が原因となっており、衝突の影響で月面下から実際に水も放出されている
■地表から十数センチ下のハイドレート層に達した隕石により、水分子が気化されて水蒸気を作り出したとのこと
「…あれ、月に雨降ってない!?」
6月7日、NASAは公式Twitter上にて、月表面に衝突した流星雨のつぶてが雨降りのようだとツイートした。
しかも衝突の威力で、月面下のハイドレート層から実際に水の流出が確認されているらしい。
この雨、強いぞ。
It’s raining … on the Moon?! ?
Scientists have discovered that water is being released on the lunar surface during meteor showers. Get more details: https://t.co/wgtXyXnjMA pic.twitter.com/iK28nAlGiR
— NASA (@NASA) June 7, 2019
インド不死身の月探査機による発見
発見したのはインド宇宙研究機関(ISRO)の月探査機「チャンドラヤーン1号」。
2008年に打ち上げられたチャンドラヤーン1号は、2009年に通信が途絶し行方不明になっていたものの2017年に再び発見されている。そこから2018年に月面上で水の存在を確認することに成功したようだ。
まさにインド不死身の月探査機である。
ISROのデータによると月面上の広い範囲で水分子が発見されており、地下には凍った状態の水があることも確認されている。
月の地面はおよそ3インチ(7.62cm)までが水分を含まない乾燥したレゴリスとなっており、そこから10フィート(約3m)まで水分子を含むハイドレート層になっている。
雨降り現象は流星雨の衝突によるものだが、地球では普通大気圏内ですべて燃え尽きてしまう。その際に蒸気化して輝きを放つのが流れ星だ。
しかし月の場合は大気層が非常に薄く、流星雨もそれを突破することが可能だったらしい。そして月面上に降り注いだ隕石のつぶてが雨のように見えたというわけである。
問題なのはこのとき、水の放出が実際に確認されていることだ。
NASAはこれに関して「月面下3インチを越えてハイドレート層に達した隕石によって、水分子が蒸発し地表の水蒸気を作り出した」と説明している。
これを聞くと月には意外に水がたくさんあるように思われるが、残念ながらそうではないらしい。
基本的に月面の大半はきわめて乾燥した状態にあり、地球上で最も乾燥した土壌よりも水分がないといわれている。その証拠に、月面上で16オンス(約0.5ℓ)の水を集めるのにレゴリス1トン以上は必要だという。
詳しい説明はNASAが発表した下の動画を参照して欲しい。
月を水惑星と呼ぶにはほど遠いようだが、今後7月に「チャンドラヤーン2号」が打ち上げられ、9月から月面探査を行う予定とのことだ。
果たして次は何を見つけてくれるのだろうか。