重元素を生み出す有力候補の超新星爆発
超新星爆発とは、恒星が年をとり核融合に必要な燃料を使い尽くして自重に耐えきれずに潰れて起こる爆発だ。星の死と引き換えに起きるメガンテみたいな爆発なのだが、超新星という単語のせいで、星が生まれる時の爆発だと勘違いしている人もいるかもしれない。
この分かりづらい呼び名は、実は過去の観測の勘違いでついてしまったものだ。
生まれたての星は明るく輝くため新星と呼ばれていたが、あるときそれより明るく輝く天体が発見された。それがいわゆる死を迎えて爆発した天体だったのだが、新星より明るので、超新星と呼ばれてしまったのだ。
重元素を生み出すr過程については、この超新星爆発が有力候補だった。この星の爆発による莫大なエネルギーと中性子が重い元素を生み出し、同時に宇宙へ重元素をバラまくと考えられたのだ。
しかし、後の観測で超新星の残骸にあまり重元素が含まれていないことが発見された。こうなると、超新星が重元素を生み出すという説は捨てなければならない。
そこで有力視されているのが、中性子星同士の合体だ。
太陽のような恒星は死んだ後、質量によって3つの運命を選ぶことになる。
太陽と同程度の質量の星だと死んだ後、余熱で輝く白色矮星になる。太陽より重いと中性子星という中性子の塊の星になる。もっと重たいとブラックホールになる。
中性子の塊である中性子星同士がぶつかった場合に、猛烈なr過程が発生し、大量に重い元素が作られるというのが現在の有力な考え方というわけだ。
しかし、この方法でも観測と一致しない問題が存在する。それが極端に金属の欠乏した低金属星の存在だ。