皮膚の細菌叢も関係している
他にも、皮膚上の細菌に蚊を惹き付ける要因があるとする研究報告もある。
2011年のオランダの研究者による報告では、皮膚微生物が蚊の刺されやすさに影響しているという。
人の汗などは本来無臭のものだが、細菌の作り出す化学物質と混ざることで臭いを引き起こす。蚊を誘引しているのは、この特定の化学物質だ。
つまり人の皮膚上に築き上げられた細菌コロニーが、蚊を惹き付ける人と、そうでない人の差を生んでいるというわけだ。
皮膚細菌に蚊の誘引効果があることを示した研究は、他にも日本の高校生がアマチュア研究者として報告を行っている。
彼は家族の中でもっとも蚊に刺されやすい妹の靴下に、蚊が強い反応を示したという例を上げている。
そして、妹の足は無臭だが、足の臭い父親よりも、蚊が引きつけられていたことから、その原因が皮膚上に潜む細菌の種類に依存しているのではないかという結論を出した。
実際、妹の足をアルコール消毒などして細菌を減らしたところ、蚊に刺される頻度が大きく減ったという。
これについては、先のオランダの研究でも指摘されており、同じ家族であっても皮膚の細菌コロニーには違いが生まれるため、例え父と娘の間であっても生成される化学物質が異なり、蚊に刺される頻度に影響してくるという。