「ボーカル」よりも「楽器」
さらに研究者たちは、音楽の中でも「ボーカル」を学んだ生徒たちよりも、「楽器」を学んだ生徒のほうが学業成績が高いことも発見した。これは、楽器で必要とされるスキルが、学習の様々な側面に活かされる可能性を示唆する結果だ。
確かに楽器の演奏には多くのスキルが要求される。まず楽譜の読み方を覚え、譜面という視覚情報を、指の動きにそのまま反映させるのは簡単なことではない。
それを可能にすべく練習を重ねていく中で、生徒たちは認知能力や実行機能を高め、学ぶことや自己効力感を充実させるためのモチベーションとしていることが考えられるのだ。
研究者らは今回の研究により、音楽などの教科を犠牲にしながら、基礎計算能力や読み書きに重点を置き続けてきた教育に対して一石を投じることを望んでいる。
音楽の力の偉大さを再確認するきっかけを与えてくれる今回の研究。日本でも音楽の授業はあくまでも副次的な科目として軽視されがちだが、大きなポテンシャルを秘めたこの科目が主要科目として「出世」する日も遠くないかもしれない。