人とロボットを見極める脳領域
今回、MRIを使った脳波パターンの測定により、ついに「不気味の谷現象」の存在を示す脳領域が発見された。
実験では21人の被験者に対して、「人間」「ロボット」「両者のハイブリッド(人に近いものとロボットに近いもの)」といった4タイプの写真を見せ、その際の脳波活動をMRIで測定した。
その後、被験者に各々の写真について、どれだけ好感が持てるか、どれだけ親近感が湧くか、どれほど人間に近いかなどの評価付けを実施。
その結果、「腹内側前頭前野(ventromedial prefrontal cortex)」と呼ばれる部分の脳波パターンが「不気味の谷」に一致していると判明した。
その領域では、本物の人間や人間に近いイメージに対しては脳波が活発であったが、ロボットや人間に似た人工物イメージに対しては活動が一挙に減退したという。

研究を率いたケンブリッジ大学のファビアン・グラーベンホルスト氏は、「この領域は脳内の評価システムを代表する場所であり、人間と非人間とを識別する役割を果たすと考えられる」と説明している。
さらに被験者の脳パターンを解析した結果、ロボットに対する許容と拒絶反応に個人差がみられた。これは「不気味の谷現象」効果の強さに個人差があることを示す最初の研究でもある。
つまり普通の人間と同じように、すべての人間に好かれるロボットもいない可能性を示しているのだ。
一体どこでその個人差が生まれるかは定かではないが、今後ロボットと触れる機会が増え、変化することは有り得る。
もし完全にロボットと人間の区別がつかなくなったら、それはそれでちょっとディストピアな未来が浮かんでしまう。